平成17年9月定例会代表質問(平成17年9月26日)No.7

<産地の形成について>

 
 これまで我が県は、水稲と二十世紀ナシを中心としたナシ栽培が全県的に行われてきました。主要な農産物を占めていましたが、時代の流れの中で価格が低迷し、試行錯誤の農業が続いているのが現状です。これまでの農業は、何かもうかるものがあれば一斉に作付し、栽培する傾向にあったと思います。中でもその傾向が強かったのが二十世紀ナシの栽培で、北斜面であろうが南斜面であろうが一斉に植栽され、栽培技術とは関係ないところで苦労をされた農家もありました。
 近年、県内各地で活性化プランなどの支援の中で、いろいろな農産物の団地化、産地化が進んできたと思っています。私はこの傾向を県としてもしっかり支え、2億円から3億円の農産物を県内にたくさんつくることが必要で、鳥取県農業の大きな柱にしたらいかがなものかと思いますが、知事の所見をお伺いします。
 これまで農家の皆さんは生産のプロであり、生産だけに専念し、販売については農協とか第三者に丸投げ状態で依存してきました。農家の現場からすれば、日が上り日が沈むまで黙々と汗水流し、販売者の意向に沿った作物をつくることに追われ、販売戦略まで考える余裕すらなかったのも事実です。したがって、農家の皆さんの安定した生活保障をするには、農家の皆さんが手塩にかけて育てた農産物をきちんと販売することが必要であると思います。確かに販売戦略は県の所掌事務ではないかと思いますが、農政全般から考えると、最大の施策であると私は思うのです。知事として、この販売について、基本的認識、そのあり方、施策として何を考えておられるのか、お伺いします。
 
●知事答弁

 
 
農産物の販売政略ですが、農産物の販売についての基本的認識と今後のあり方をということですが、私は、生産者と、生産者の皆さんが組織しておられます農協が真剣に頑張ること、これが一番だと思います。伊藤議員も役所の仕事ではないがというふうに断っておられましたが、そのとおりで、やはりつくってもうける人が販売戦略も考えなければいけないわけです。つくることはつくるけれども、販売の方はお役所で考えてもらいますなんて産業は、農業にもないと思いますけれども、ほかにはないわけで、やはり市場をにらみながら生産を計画していくという、この相関関係を農業でも大切にしていただきたいと思っております。
 JAも最近随分変わってきたと思います。JAによっても濃淡はあるかもしれませんけれども、いい方向に変わってきた芽を伸ばしていただきたいと思っております。
 もちろん行政も、何もやらないというわけではありません。行政もやるべき分野はあります。やるべき仕事はこの分野にもたくさんあります。例えば、それは県産品のイメージアップといいますか、ブランド化といいますか、鳥取県の農家の皆さんが丹精込めてつくった農産物が品質が非常によくて、健康面からも安全・安心で食していただけるという、そういうイメージづくりというのは大切なことで、こういうのは県が当然やるべき分野だろうと思っております。それから市場の情報提供ですとか、市場と生産側との間をマッチングするといいますか、結びつけるといいますか、そういうことも、実はチャンスを見ながら今でもやっていることです。口ききというとちょっと語感が悪いかもしれませんけれども、消費者側に属している皆さん方と生産者側に属している方々とを結びつけるという機能も積極的に県としてもやっていきたいと思っております。その他、直接的なイベントですとか、消費地におけるイベントですとか、物産販売ですとか、そういうことも今までもやっておりますけれども、これからもJAの皆さんなどとも協力しながら、より積極的にその役割を果たしていきたいと思っております。
 あと、願いますのは、市町村がそれぞれの地域の特産品の宣伝にもう少し努めていただければと思います。特に広域化しました市などは、市でもって一つの特産品を売り出していく、ブランド化していくということが可能ですので、もっともっと農産品のPRなどに力を出していただければと願っているところです。

●河原農林水産部長答弁
 
 2〜3億円の産地育成を農政の大きな柱にしてはどうかというお尋ねでした。お話のように、現在、数億円規模の販売目標を設定した産地プランがどしどし作成されてきております。琴浦町のブロッコリーですとかミニトマト、日南町のトマト、湯梨浜町のホウレンソウ、JA鳥取いなばの地産地消生産体制、いずれも1億円から3億円の販売額を目標とするプランです。
 従来、農産物は市場流通が主で、産地規模が大きいほど有利販売が可能だというふうにされてきておりますが、現在では市場流通に加えて、生協等との直接取引、インターネット販売、地産地消による域内流通等、流通の多様化が進んでおりまして、平成14年においては、青果物の市場流通が6割にまで減少しております。したがって、今後は規模の小さい産地でもあながち不利になることはない状況ではないかなと思っているところです。
 このような流通が多様化する状況においては、消費者ニーズを踏まえて地域の特色を生かした生産・販売に取り組んでいただくことが大切です。小規模であっても元気な産地が数多く生まれるよう、県としても大いに支援してまいりたいと考えているところです。

<産地の形成について> No.2

 
 販売の件ですけれども、全国的にも各産地が地産地消から地産全消へと、いわゆる、あらゆるツールを使いながら農産物の販売戦略を今、進めております。鳥取県においても、既存の販売ツールだけでなくて、あらゆる販売戦略ともっともっと真剣に向き合わなければならない。生活不安からますます離農者がふえてくると私は思っております。
 したがいまして、販売戦略の選択肢の一つとして、農産物に限ったことではありませんけれども、地域の特産品をホームページ、つまりIT等を活用して、個々の生産者が自己責任、自己努力で販売するための講座を農業大学校とか高等技術専門学校で開設し、本格的なIT販売戦略を学べるようにしたらいかがかと思いますけれども、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
●知事答弁

 
 農産物の販売の点で、ITを活用することが有効ではないか、農家もITを利用した販売戦略を持つべきではないかということで、そのために県として何らかの講座でも設けたらどうかということですが、私も意欲のある生産者、農家の皆さんがITを活用して販売に乗り出すということは、大いに結構なことだと思っております。もとより、そんなに容易ではありませんし、ITを活用したからどんどん売れるようになるというものでもありません。というのは、やはり大勢が参入しておりますので、その中での競争はまことに厳しいものがあるわけです。ただ、みずからの独自の販売網を持たない、他者に依存せざるを得ない生産者が多い現状を見ますと、ITという世界に開かれたマーケット、市場というものを活用するのは、私は大変意義のあることだと思っております。ぜひ意欲的に取り組んでいただければと思っております。

 この点について、これまでも幾つか、断片的ではすけれども、講習会とか啓発の取り組みをやってきておりますけれども、必ずしも系統立っていないというようなこともあります。もしそうしたIT戦略を活用したいという方々が多くなるといいますか、ニーズがあれば、それはしかるべき講座なども県として考えてもいいと私は思っておりますので、この点については、御提言の件を少し念頭に置いたことを考えてみたいと思います。