平成14年9月定例会代表質問(平成14年9月26日)No.10
<不妊治療の支援について> |
現在、県を初め市町村が躍起になって推進しているのが、少子化対策であります。その対策の中心は、子育て支援策であります。こうした子育て支援策も必要でありますが、これからは行政として着目しなければならないのは、子供が欲しくても子供ができない人への対策でなかろうかと思います。原因はいろいろ言われていますが、1つの問題となっているのは、男性の精子が減少しているということであります。環境ホルモンやストレスなどの影響ではと言う学者もいますが、定かではありません。 そうした中、平成11年度から鳥取県立中央病院に不妊専門相談センターが開設されましたが、PR不足のせいか、またすぐ診療されるせいなのか、相談者が少ないそうであります。いずれにせよ、子供が欲しくても子供ができない夫婦にとっては深刻な問題であります。しかし、不妊治療にはかなりの費用がかかるため、若い夫婦には相当な負担となっております。県としても新たなる少子化対策の一つとして支援策を検討すべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いします。 |
●知事答弁 |
不妊治療の問題でありますが、私も就任直後に少子化対策というものを重点施策として取り上げまして、多くの方から意見を聞いて、少子化対策に資すること、子育てに資することをリストアップしまして、必要なことを順次やってきているわけであります。その際にも、不妊治療というものをやったらどうかということで、そのリストに挙げて検討したのでありますが、その際に、やはり倫理上の問題とかから、いいことだからやればいいというものでもないよという意見がいろんなところから出まして、ちゅうちょしたわけであります。それで今日に至っております。財政面上の問題ではなくて、倫理面からの検討が必要ではないかというようなことでありました。 当然これは問題点としては残っているわけでありまして、検討しなければいけない問題であります。その後どんな検討状況か、また国はどんなことを考えているのかということも含めて、福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。 ≪石田福祉保健部長答弁≫ 不妊治療の支援策についての県のその後の取り組み、あるいは国の考え方ということでございますけれども、県といたしまして、医師会であるとか鳥取大学の医学部にも相談をいたしておりますけれども、先ほど知事もお答えしましたように、やはり倫理上の問題があるということでございます。倫理上の問題といいますのは、例えば排卵誘発剤の使用によります多胎妊娠、出産のリスクを回避するための減数手術の実施であるとか、人工受精による副作用は事故の危険性、あるいは精子、卵子の提供による体外受精により生まれた子の神経などの問題、こういった問題が指摘されておりますし、倫理問題ということでありませんけれども、不妊の夫婦に対する圧力、そういった問題もあるのではないか、こういったことも指摘をされております。 県といたしましても、ことしの1月に、県が医師会や大学の医学部とともに組織しております県の健康対策協議会でも協議をいただきましたけれども、例えば県が不妊治療を行った者に対して補助を行うということになれば、やはり倫理委員会等の設置がないと、そういった倫理上の問題をクリアできないのではなかといったような御意見、あるいは不妊治療で出産した子供の発達に問題がある場合等のこともあり、不妊治療への公的助成の実施というのは慎重に検討する必要があるだろうと、こういったような御意見が出されているところでございます。 また、現在、国の方では、少子化社会を考える懇談会が設置されておりまして、その中で不妊治療の支援について、倫理、医療技術、経済負担の問題を検討することとされておりまして、そういう国の検討状況を県としても注視していきたいと考えているところでございます。 |
<看護職員の確保について> |
2000年度にスタートした介護保険制度、この介護保険制度のスタートに前後して、県内各地で社会福祉施設や介護保険施設などが次々と新設または拡充され、21世紀の新たなる産業であるという息吹を肌で感じております。このように介護保険制度の稼動に合わせるかのように、社会福祉施設や介護保険施設等が短期間の間に充実されたこともあってか、看護師、准看護師、保健師、助産師等が思うように確保できないという声を聞きますが、求人、求職の実態はどうなっているのか、お尋ねをいたします。 また、看護職員の皆さんが就職してもなかなか定着しない。特に子育てに真っ最中の看護職員の離職が多いと聞きますが、その原因と対策についてお伺いします。 また、県内の看護学校の中で既に募集を停止、閉校予定のところがあり、将来看護職員の不足が心配されているところでありますが、県としての今後の見通しや対策について、知事の御所見をお伺いいたします。 |
●知事答弁 |
看護師などの看護職員の求人、求職の実態、さらには看護職員の離職が多いことの原因、看護職員不足の見通しと対策につきまして、福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。 ≪石田福祉保健部長答弁≫ まず、その求人、求職の実態ということでございますが、ことし7月時点のハローワークの有効求人倍率を見ますと、看護職員は2.37倍ということで、全職種が0.54倍ということでございますので、それに比べまして非常に困難な状況ということがございます。また、ことしの6月に行いましたアンケート調査では、病院の70%、診療所の20%、福祉・介護施設の28%が看護職員の増員を希望しておられます。この回答率から単純に看護職員の需要を推計いたしますと、全体で約 440人程度の需要があることになります。鳥取県の看護職員養成施設の現在の1学年の定員が 410人ということでございますので、そういった意味では、 440人というのは非常に重い数字だというふうに認識をしているところでございます。 次に、看護職員の離職の原因と対策ということでございますが、病院の看護職員の離職状況を見ますと、平成13年度中に 573名ということになっておりまして、看護職員総数の約1割に相当する方が離職しておられます。今年行いました退職者の離職の理由調査によりますと、離職の理由は多岐にわたっておりますけれども、例えば残業が多い、休みがとれないといったような勤務条件にかかわるもの、あるいは健康上の理由によるもの、出産、育児、子供のためといったような家庭あるいは家族の問題によるもの、さらには自分の適性、能力への不安といったようなものが多くなっております。 また、離職者から見た必要とする職場環境の条件として挙げられているものといたしましては、看護職員の増員や看護業務の合理化、休暇をとりやすい職場環境、あるいは保育所等子育て支援のための施設整備、研修体制の充実、そういったような要望が多く出されているところでございます。 県といたしまして、離職防止に向けて現在行っております対策といたしましては、看護職員としての能力向上のための研修であるとか、子育て中の看護職員が働きやすい職場づくりを実現するための病院が行う院内保育に対する助成、こういったものを実施しておりますけれども、必ずしも十分ではないだろうというふうに認識をしております。 このため、今後の取り組みといたしまして、働きやすい職場をつくるための施策といたしまして、管理者、監督者への研修といったものもやってみたい。あるいは就業3年未満で離職する割合が約4割と多くなっておりますので、就業3年未満の看護職員に対する研修。さらには、育児休業の人を対象といたしました職場復帰のためのプログラムの導入の促進や国の補助基準に満たない院内福祉を運営する病院等の助成などを今後検討していきたいというふうに考えております。 こうやればうまくいくというものがなかなか見つからない状況ではございますけれども、関係者の意見も伺いながら検討してまいりたいと考えているところでございます。 看護職員養成施設の減少の動向についてでございますが、高齢化がこれからさらに進行する中で、保健・医療・福祉を担う看護職員のニーズというのはさらに増加するものと考えております。看護職員の需給見通しを見ましても、需要面では、病院、診療所、福祉施設等の雇用規模は、本年度行いましたアンケート調査では、平成14年度から19年度までの合計で 811人というふうになっております。介護保険制度のスタートによる看護職員の働く場の拡大の影響が大きいのだろうというふうに考えているところでございます。 一方、供給面といたしましては、鳥取赤十字看護専門学校が本年度で閉校いたしますし、済生会の看護専門学校も閉校を検討中でありますので、看護職員の供給数は今後減少する見込みとなっております。このため、看護職員の確保対策といたしまして、今年度から新たに未就業看護職員のスムーズな再就業を支援するための講習会を実施することにしておりますし、看護職を志す高校生向けの冊子を作成配布したり、県立高校の校長会で看護職への理解や進学指導の要請を行っております。 さらに、現在、県内定着を促進するため、看護師等就学資金貸与事業の拡充や鳥取、倉吉の県立看護専門学校の定員増による供給数の確保、あるいは県内就業施設のPRを行うための就職説明会の開催などを検討しているところでございます。 いずれにいたしましても、現場のニーズを踏まえて幅広い取り組みを行っていきたいというふうに考えているところでございます。 |
<看護職員の確保について>No.2 |
答弁でもありましたけれども、県営の看護学校の中で募集停止した、閉校を予定されているところがあり、看護職員の不足が非常に懸念されると答弁がありました。また、私が医療関係者の皆さんから話を聞くところ、特に病院関係者の皆さんは、医療技術の進歩とともに高度な知識を持った看護師さんを強く要望されているようであります。また、日進月歩で医療技術が進歩する中、鳥取県としてもより有能な看護職員を養成するために、看護大学が不可欠であるのではないかと考えます。 その取り組み方としては、鳥大を活用する方法、公設民営、学校法人の誘致等いろいろあろうかと思いますけれども、次世代の医療のあり方を考えるとき、現場の医療はお医者さんだけでは対応できないということであります。看護師を初めとする看護職員の役割はますます重要になってくるものと思います。したがって、より質の高い看護職員を養成するために、県として看護大学の設置、誘致について議論を早期に開始すべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
看護大学の問題でありますが、これも実はかねて検討をしてきております。結論としては、やはり看護大学というのもあった方がいいという方が多いと思います。私もそう思います。看護職の方もいろんな多様な人材供給の道があっていいと思います。ただ、看護大学を設置するとしますと、相当多額の経費を要します。これがちゅうちょされるところでありまして、特に今のような財政難のときに、なかなか大きな一歩を踏み出せない事情にもなっております。 一方では、大学をつくって少数精鋭の教育をするよりは、今看護職員が足らないのだから、この際、量的な確保の方にもっと力を入れるべきではないかという、医師会関係ではそんな意見もかなりあります。今、そういう状況でありますが、必要性についてはそんなに大きな異論はないのではないか。あとは財政の問題とかそういう問題ではないかと思います。 どういう検討をしてきているのか、今後のこと等につきまして、福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。 ≪石田福祉保健部長答弁≫ 看護大学についてでございますけれども、看護大学につきましては、かねてからいろいろな方々の意見を伺っております。先ほど知事の方からも答弁申し上げましたけれども、看護大学だけでなくて、量的な看護職員の確保といった声もかなり多くございます。そういった意味で、看護大学も視野にも入れながら、当面、県立看護専門学校の整備充実といったようなこと、あるいは本県の出身者で県外の看護大学進学者の本県へUターンしていただけるような施策、仕組み,そういったものを含めて今後検討していきたいというふうに考えているところでございます。 |
<地域福祉計画について> |
平成12年に改正されました社会福祉事業法によりまして、社会福祉法に市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定が新たに規定をされました。そして、平成15年4月1日に施行されました。この地域福祉計画の策定は、各地方自治体が主体的に取り組む規定となっておりますが、いずれはどの市町村も福祉の羅針盤として策定されるものだと思います。既に他県では地域福祉計画の策定に取り組んでいるところがたくさんあります。福祉先進県を目指す我が県においても、県だけでなく市町村の福祉施策の充実こそが重要であります。そうした観点から、少しでも住民のニーズに基づいた地域福祉計画をつくるためにも、パイロット的な市町村を指定し、計画策定に向け県としても支援をしたらどうかと思いますけれども、知事の御所見をお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
市町村が策定します地域福祉計画については、かねてこの議場でも取り上げられて議論したところであります。私も、市町村の地域福祉のあり方を市町村みずからが考えていただくために、ぜひ地域福祉計画の策定をしていただきたいと思いますし、策定を通じて、策定過程において福祉のあり方を真剣に議論していただきたいと思っているところであります。 そんな趣旨から、今年度モデル的に計画に取り組んでいただくということで、幾つかの市町村を指定して、それに若干の経費の支援もしているところでありまして、そういう中から計画の策定が広がっていけばなと願っているところでありますが、やはりこれも基本的には、本当は市町村に自主的に取り組んでいただきたいものであります。県から多少のわずかの金が出るから取り組むとかそういうものでは本来ないのであります。 どうしてこういう基本的なところがなかなか進まないのかなと思って、私も不思議に思うのでありますけれども、そこで、例えばこの問題に限りませんけれども、本来市町村に取り組んでいただきたいと思うようなことについて、取り組んでいるところと取り組んでいないところを、星取り表のようなものにして去年公表したことがあるのであります。先進度調査という名前で。それを公表しますと、かなり反響があって、うちの町はどうしたことだという怒りとか不満が出てきて、それが市町村を突き上げることになるのかなというねらいも込めて公表したのでありますけれども、ほとんど不発でありまして、住民の皆さんからは無反応でありました。本当に残念であります。ですから、情報公開をして、他市町村と比較することによって、それがばねになって進めばというそんな気持ちもあったのですが、これもなかなかうまくいかないのかなと思って、今ちょっと考えあぐねているところであります。 いずれにしましても、この地域福祉計画もぜひ取り組んでいただきたいので、いろんな場面で私からも市町村長さんにお話を申し上げていきたいと思っております。 |