<HIV、性感染症について> |
近年、エイズに対する関心の薄れが危惧される一方で、我が国の感染者は増加の一途にあります。厚生労働省エイズ動向委員会の発表によると、昨年新たに報告されたHIV感染者は全国で過去最高の
621人、昨年末までのトータルで
4,526人に達すると報告されています。しかし、検査を受けていない感染者を含めると相当な数に上ると言われています。特に若い世代での急増ぶりが目立つと警告しています。
こうした国内の状況とは裏腹に、鳥取県内におけるエイズの相談件数は、平成5年度に 978件であったのに対して、平成13年度は
168件と約6分の1に減少する結果となっております。また、エイズ検査を受けた人も、平成4年度の
666人をピークに、近年は低くなっております。近年は治療薬の進歩で、HIVに感染しても早期に発見して治療すれば発症を長く抑えられるようになりました。HIVに対する県民の関心が極めて低い中、爆発的な広がりを防ぐためにも、再度HIVに対する正しい認識を若い世代を中心に啓発すべきと考えますが、今後の対策について知事の御所見をお伺いします。
また、平成11年度から県内で性感染症の患者が急激に増加したとお聞きをいたしております。その実態と想定される原因についてお伺いします。
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●知事答弁 |
HIVの問題と性感染症患者の実態と原因につきましては、福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。
≪石田福祉保健部長答弁≫
HIV、エイズ予防についての件でございます。
エイズ予防につきましては、各保健所にエイズの相談窓口あるいは検査窓口を設けましてPRを行っているほか、新聞、パンフレット等での啓発に努めているところでございます。特に若い世代への啓発というのが最も重要であると考えておりまして、平成13年度から教育委員会と連携いたしまして学校職員等への研修を行っておりますほか、街頭キャンペーンに中高生にも参加をしていただくなどの取り組みを行っているところでございます。今後も、エイズに対する正しい知識の普及啓発を推進するために、各種の媒体を通じまして広く県民にPRを行うとともに、教育委員会と連携しながら若い世代に対する啓発を行っていきたいというふうに考えております。
次に、性感染症患者の実態と原因についてでございます。
県が行っております感染症発生動向調査によりますと、性感染症のうち淋菌感染症などはほぼ横ばいという状況でございますけれども、性器クラミジア感染症が本県でも大幅に増加しているという現状にございます。特に10代半ばから20代前半の若者層の増加が顕著となっております。
その原因ということでございますけれども、その原因の特定はちょっとできませんけれども、県内の学識経験者であるとか市町村の保健師等の関係者に伺ったところでは、特に若者層について性感染症についての正しい知識が普及できていない、あるいは性交年齢の低年齢化、あるいは性の自由化、こういったことがあるのでないか。その背景には性情報の氾濫といったものも考えられるではないか、こういったような意見が出されております。
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<HIV、性感染症について>No.2 |
HIV及び性感染症の問題でありますけれども、まず、HIVにしても性感染症にしても、若い世代で急激に増加をいたしております。しかしながら、無知であったり関心が薄れてはいけない大変重要な問題であります。中学校や高等学校で、もっと徹底した性教育、感染者の人権が守られる教育をすべきであると思いますけれども、この点について教育長の御所見を伺いたいと思います。 |
●知事答弁 |
中学校や高等学校の学校現場における性教育の考え方についてでありますが、人間尊重、男女平等等の精神に基づきまして、望ましい考え方や行動がとれるなど、豊かな人間形成を目指すものでなければならないと考えております。こうしたことから、身体的あるいは生理的な内容だけでなくて、人間関係や感染者の人権を守ることなどについて、道徳でありますとか保健体育でありますとか、あるいは学級活動などさまざまな場面で指導しているところであります。
それぞれの学校におきましては、従来から県の教育委員会が作成しております「性教育、エイズ教育指導の手引」をもとに、年齢に応じた指導を実施しているところでありまして、エイズ感染者への偏見や差別をなくし、共生、ともに生きる心構えを持つことを指導いたしております。
また、昨年度からは性感染症の急増等の現状を踏まえまして、産婦人科医など専門家の方を学校に招きまして、生徒や教職員等を対象に講演や指導助言するといったような内容の授業も、中学校にも拡大して実施しておりますし、今年度からは中学校、高校とも、その対象校をふやしております。
これからも引き続き、県の医師会でありますとか福祉保健部等、関係機関の協力も得ながら、学校においての性教育の充実を図っていく必要があると考えております。
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<HIV、性感染症について>要望 |
性感染症の問題でありますけれども、今、学校現場での答弁があったわけでありますけれども、有職青少年についても、対応策といいますかそういう部分を、私は今後しっかり検討をしていただきたいと思っております。
昨日もテレビで、性感染症の先にはHIVがあるという番組がなされておりました。そういう意味も含めて学校での教育、それ以外の卒業した有職青少年、それらの問題も本当に今後の大きな課題として、対応策を検討していただきたいと要望だけしておきたいと思います。 |
<社会福祉協議会の位置づけについて> |
県内の各市町村には、すべてに社会福祉協議会が設置され、公共性、公益性の高い民間非営利団体として、困り事相談や各種ボランティア活動等、住民が安心して暮らせる福祉コミュニティーづくりを目的に地域の福祉を推進してまいりました。しかし、現実は福祉行政の下請的な存在であったり、地方自治体上、行政ではできないような部分を社会福祉協議会が担ってきたと言っても過言ではないと思います。
ところが、2000年に介護保険制度が導入されてからは、社会福祉協議会自体が積極的に介護保険のサービス事業者になったり、逆に、これまで行っていたホームヘルプサービスを民間の社会福祉法人に移管する社会福祉協議会等と、市町村によってはそのあり方が随分変わってまいりました。このことは、地方分権及び社会福祉基礎構造改革の一連の流れの中の一つで、平成12年に改正された社会福祉法でも、社会福祉協議会の目的として、地域福祉を推進することを目的とした団体、行う事業は、社会福祉を目的とする事業の企画及び実施等と、これまでの努力規程のレベルから法的に明確化されました。
さらに、事業の広域化、複数の市町村社会福祉協議会で介護保険サービス等を実施することが可能になりました。とはいっても、目的事業については漠然としたもので、これまでと余り変わりありません。県下の社会福祉協議会の現状について、知事の御所見をお伺いします。 |
●知事答弁 |
市町村の社会福祉協議会の実情ということでありますが、これも私、つぶさに存じ上げているわけではありませんが、総じて市町村と一体的、市町村と不即不離といいますか、そう言えばいいのでありますけれども、市町村の下請機関のような役割を担っているところが多いのではないかという認識を持っております。それは、やっぱり自主財源がないということ、これはどうしてもしようがないことでありまして、その点で市町村に従属せざるを得ないということがありますけれども、その点はよく工夫をして、せっかく社会福祉協議会という別人格の団体で、行政ではやらないこと、行政ではやりにくいようなことをやろうということでありますから、ぜひ自主性を持つための工夫をしていただきたい。これは県にも言えることでありまして、実は我が身のことでもあるのであります。
もう1つ、市町村社会福祉協議会の現状ということで印象を申し上げますと、これも大変失礼でありまして、誤解を生じることをあえて申し上げますと、やはり高齢の方が多い、高齢の男性が多いという印象を持っております。もう少し、福祉というものも高齢者の独占のものではなくて、やはり老若男女がかかわって福祉というものを実践していくということが必要だろうと思いますから、市町村の社会福祉協議会、県もそうでありますけれども、その辺の幹部の構成ということも、これから心がけなければいけないのではないかと私は考えております。
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<社会福祉協議会の位置づけについて>No.2 |
次に、社会福祉協議会の位置づけについて質問したいと思います。
確かに市町村独自の自立した社会福祉法人でありますから、網をかぶせるような手法はいけませんけれども、共通するあり方論、そういうものは県民の声を聞きながら検討や助言を進める必要があると私は思います。これについてお考えをお尋ねしたいと思います。
また、現時点で県下の社会福祉協議会のホームページを立ち上げているところは県内では1つもありません。県としてもIT化を最重点施策として推進しているわけでありますが、逆に言いますと本当に残念なことであると思います。それぞれの市町村の社会福祉協議会がどんな仕事をしているのか、どんなボランティア活動をしているのか、どんなまちづくり活動をしているのか、福祉関係者や、さらにはボランティアの皆さんに、そして住民の皆さんに一番身近な問題の情報の発信源であると思っております。予算とか人的な問題でホームページがつくられていないのが現実かと思いますけれども、福祉先進県、これも知事の重点施策でありますし、市町村の社会福祉協議会のIT化による福祉の情報化、これを県としても財政支援しながら強力に進めるべきだと思いますけれども、知事の御所見をお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
最初に、市町村の社会福祉協議会のあり方でありますが、これは私は、基本的にはそれぞれの市町村で解決をされるべき問題だと思います。県の出先でもありませんので、市町村が責任を持って、どういう福祉協議会の組織運営にすれば一番ふさわしい実を上げることができるのかということを考えられるべきでありますし、住民の皆さんも、やはり福祉協議会というものをよく注視して、そのあり方について意見を述べられるべきだと思います。そういう意見を酌んで、議会、市町村で社会福祉協議会のあり方を検討されるのが一番の基本だろうと思います。
ただ、県としましても、やはり気になることは幾つかありますので、私は、社会福祉協議会に限りませんけれども、いろんな団体に常にお願いをしておりますのは、1つは、情報公開を徹底してくださいということであります。情報公開を徹底することによって説明責任を果たさざるを得なくなりますから、そうすると自立への早道になると思います。
現場主義に徹してくださいということ。これはやはり1つの組織というのが、組織の論理にとらわれがちになりますので、もう1つは、金の出る方ばかり向くということにもなりますので、そうではなくて現場を見る、福祉協議会の仕事の対象となる当事者の皆さんの方を向くということ、これを徹底してくださいということ。
もう1つは、男女共同参画ということを私も申し上げるのでありますが、その組織が生き生きとバランスのいい仕事ができるかどうか。男女共同参画というのは1つの大きな目安であります。総じて男女共同参画ができていないところはずれが大きいという、私も経験的な印象を持っております。ですから、こういう福祉を担うような団体は特にそうでありますが、男女共同参画が実現できているかどうか、これは人権にも配慮しているということのあかしでもありますし、公正さを保とうという意識の反映でもあると思いますので、こういう点を市町村の社会福祉協議会にもぜひ求めていきたいと考えております。
ホームページの件でありますが、私も社会福祉協議会のホームページを見てみましたけれども、各県の目次がずらっと並んでいるのを見まして、鳥取県は1つだけ、県社協の中の一部の機関についてのホームページが出ておりました。それ以外は鳥取県関係ではありませんでした。隣の島根県が県社協関係も含めて3つか4つあったと思います。岡山県はかなりたくさんのものがありました。ホームページを出しているから進んでいるかどうかというのは、検証してみないとわかりませんけれども、1つの意欲のあらわれにはなると思います。少し寂しい感じがいたしました。県の社協のホームページも、もうちょっと全体をあらわす充実したものにしてもらった方がいいなという感想を持ちましたし、県内の市町村の社会福祉協議会も、もっと意欲的にホームページを出すぐらいのことがあってもいいのではないかと思いました。同感であります。
ホームページを出すということは、やはり人に知らせたいということでありますから、意欲のあらわれでありますし、結果として人に知られるということは、その段階で説明責任をおのずから求められるということでありますし、いろんな提言とか批判とかが出てくるでありましょうから、業務の改善にも結びつく、こういういい点があると思います。これは決してお金がないから出さないということではないと思います。県議会議員の皆さんもホームページを出されている方が結構おられますけれども、社協の場合には、お金がそんなにかかるから出さないというものではないのだろうと私は思います。もっと別の要素で出ていないのではないかと思います。
ただ、市町村任せというわけではなくて、県も何がしかの働きかけをしたらと思いますので、この辺のどういう支援の仕方があるかということについては、福祉保健部長の方から御答弁を申し上げます。
≪石田福祉保健部長答弁≫
まず、市町村社会福祉協議会のIT化についてでございますけれども、市町村の社会福祉協議会も、既にボランティアセンターの事業で高速公衆用の電話回線を使って一応ネットワーク化も図られている。したがって、まず基盤はできておりますので、そういうものを使ってホームページをつくっていけばいいのではないかと思っているところでございます。
そういう意味で、県の社会福祉協議会でいろいろ研修の場がございますので、そういう研修会の中で、ホームページの作成を初めとするコンピューター技術の習得についての研修の機会をつくって指導していきたいと考えているところでございます。
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