平成14年9月定例会代表質問(平成14年9月26日)No.13
<漁業の復権について> |
私は、平成12年9月定例県議会の代表質問で、同じ第1次産業でありながら漁業への各種施策が農業施策に比べて比べ物にならないくらい劣っていると指摘をいたしました。農業を取り巻く現状は確かに大変でありますが、農業は数多くの補助制度で保護されております。しかしながら、命をかけながら大海原に船を出し、魚が確実にとれるという保証もない漁を日々続けている漁師の皆さん、同じ第1次産業でありながら、年金制度一つをとっても、こんなに差があっていいものだろうかといら立ちを感じるのは私だけでありましょうか。農業者の年金は公的年金制度であり、保険料についても補助があります。さらに、保険料については最高80万 4,000円まで全額社会保険料控除となる税制上の優遇措置までとられています。しかし、漁業者の年金はあくまでも全国共済水産漁業協同組合連合会による共済事業の一種であるとしか認められておりません。したがって、保険料の補助どころか、税制上も最高5万円の生命保険料控除しか認められておりません。同じ税金を払いながら、制度に余りにも格差があり過ぎるのではないでしょうか。どこに公平、公正があるのでしょうか。税務署長を経験されたこともある知事に御所見をお伺いします。 |
●知事答弁 |
漁業者年金の問題でありますが、なぜ農業者年金に比べて漁業者年金は所得税の取り扱いが不利なのか、なぜ社会保険料控除の対象にならないで、生命保険料控除の対象にしかならないのかということは、私もかつて税務署長をやっていましたが、もうかれこれ24年前の話でありまして、現行の制度にそんなに詳しくないのでありますから、国税庁とか税務署に聞いてみなければわかりませんが、私の感想で言いますと、漁業者年金というのはいわゆる公的年金ではありませんので、やはり公的年金として位置づけられているものとそうでないものとは差はやむを得ないだろうと思います。 じゃあ公的年金になるのかといいますと、公的年金になるためにはいろんな制約がありまして、義務も生じます。そういうときに、漁業者の当事者の皆さんがどう考えるのか。本当にこれに加わって、この制約を受けながら保険料を払い続けるという意思が皆さんおありになるかどうかとか、当事者の皆さんに関するハードルも多分あるのだろうと思います。 ともあれ、漁業者年金についてどういう実態になっているのか等につきましては、水産振興局長の方から御答弁申し上げます。 ≪森下水産振興局長答弁≫ 漁業者年金に対する認識のことでございますが、漁業者年金の経緯につきましては、昭和45年に農業者年金が発足しましたが、このときに同様な公的年金制度の創設を求めております。しかし、漁業には農地の所有とか使用の世代間移譲、経営移譲の促進といったような政策目的が見出せなかったということが大きな障壁となったようでございます。 その後、昭和52年でございますが、全国漁業協同組合連合会が、漁業者の高齢化、後継者不足対策のために委員会を設置しておりまして、この委員会の中で、老後対策の緊急性から自主年金制度を創設することが現実的だということで、お話のありました全国共済水産業協同組合連合会、共水連と言いますが、ここに一部事務補助のある国庫補助を導入した任意年金制度が昭和56年に創設されたというものでございまして、その流れが現在に至っているものでございます。 前回、平成12年の9月に伊藤議員から御質問がございましたが、昨年、この制度改正の要望につきまして関係団体に意見を聞きました。関係団体の意見では、高齢化によりまして加入期間が20年以上見込まれる漁業者は少なく、全国的な運動にはなりにくいといったことで、実現は困難ではないかということの認識でございました。 |
<漁業の復権について>No.2 |
次に、漁業のIT化について質問します。 私たちが食卓で食べる魚でやっぱり一番おいしいのは、鳥取県沿岸でとれる旬の魚であります。しかし、近年、資源の枯渇かどうか知りませんが、魚の水揚げが随分少なくなってまいりました。漁船自体には無線、魚群探知器等最新の機器が取りつけられていますが、各漁協には相変わらず電話とファクスしかなく、情報収集機器が整備されておりません。漁獲高が年々厳しくなる中、魚価の確保が最重点項目であります。今日の情報時代にあって、水産試験場からの水温、潮流、さらには衛星からの海の状況、各市場の魚価等、情報に基づく漁業の振興が不可欠であると考えます。したがって、漁業関係者を初め漁協、市場ごとの情報ネットワークシステムの構築が急がれると思いますが、知事の御所見をお伺いします。 |
●知事答弁 |
その漁業の問題でありますが、漁協、市場との情報ネットワークシステムの構築が急がれるということ、この点につきましても水産振興局長の方から御答弁申し上げます。 ≪森下水産振興局長答弁≫ 情報ネットワークシステムの構築は、漁獲量の把握とか流通の効率化、魚価の安定など漁業振興を図る上で重要だと考えております。現在、鳥取中央漁協が中心となりまして、平成15年に予定されています漁協合併に合わせまして、県内の漁港の水揚げ情報の収集、消費地市場の入荷量や価格情報の収集、インターネット取引、水産試験場からの漁海況情報の収集、漁協の支所間の財務会計のオンライン化、こういったことにつきまして情報ネットワークシステムの構築の検討を始めているところであるということで聞いております。漁海況情報は直接生産にも結びつきますし、流通の効率化によるコスト削減とか魚価の安定、こういった面からも早急に取り組んでいただきたいと思っております。 |
<県警の組織体制の見直しと留置場の現状について> |
前段で合併問題について質問したとおり、現在、市町村合併の議論が一斉になされているところであります。現在、鳥取県下の警察署の配置は、市とか郡、生活エリアを軸とした市町村の範囲に、しかも、それぞれの地域の人口規模、社会的な条件を勘案され、設置されているものと思います。しかし、市町村合併が進めば市町村のエリアが大幅に変わってくるものと予想され、既存の警察署では対応がどうしても困難であろうと考えます。したがって、私としては警察署の配置を大幅に見直さなければならないと考えますが、市町村合併への対応について、県警本部長の御所見をお伺いいたします。 また、見直しをされる場合には、何を基準として警察署の配置計画を考えていかれるのか、あわせてお伺いします。 |
●知事答弁 |
≪神山警察本部長答弁≫ まず、警察署の配置の関係でございますが、警察署の名称、位置及び管轄区域については警察法で定めがございまして、政令で定める基準に従い条例で定めるということになっております。この基準を定める政令として警察法施行令第5条という規定がございまして、警察署の管轄区域は、警察の任務を能率的に遂行することができるように、人口、他の官公署の管轄区域、交通、地理、その他の事情を参酌して決定することとされております。また、警察署の位置は、管轄区域内の住民の利用に最も便利であるように、他の官公署との連絡、交通、通信、その他の事情を参酌して決定することというふうにされております。 現在、各市町村で合併に向けてさまざまな枠組みについて協議されていることは承知をいたしておりまして、これらが現実に実現するというようなことになれば、あわせて警察署の管轄区域を見直すことは当然必要になってくるというふうに考えております。 警察署の管轄区域あるいは配置を見直すに当たりましては、先ほど申し上げた法律、政令の規定にもありますとおり、警察の任務を能率的に遂行することができるようにするという目的のために、人口、他の官公署の管轄区域、地域住民の利便性、交通・通信・地理の状況などのほか、事件・事故の発生状況、あるいは個々の警察活動の効率性の確保、警察署としての適正な規模というようなことなどを総合的に勘案した上で、県民の意見を踏まえ、県議会での御議論を経て慎重に決定すべきものというふうに考えております。 なお、現在の11警察署の体制は、昭和29年、現行の警察法施行以来のものでございまして、一部の警察署の名称、位置などについて若干の変更はありますけれども、大筋では48年間ほとんど変わっておりません。その間、県内の人口の分布、あるいは交通事情、事件・事故の内容や発生状況など相当変化をしております。現在の体制が必ずしも現状にそぐわないという面も出てきているのが実態と思います。 市町村合併で議論されているこの機会に、警察としてはそれらの議論の動向を注視するとともに、本県の治安を維持する上で一番効果的で適切な警察署の配置、管轄区域、規模といったことについて、我々の方でも現在検討を進めているところでございます。 |
<県警の組織体制の見直しと留置場の現状について>No.2 |
平成12年の刑法犯認知件数は
6,682件に上っています。このように刑法犯認知件数が増加したことにより、被留置人員も大幅に増加し、平成12年の被留置者延べ人員も1万
6,309人で、5年前、平成8年の 1.9倍、10年前、平成3年の 2.2倍となっており、今年度から看守人の増員体制も図られてきたところであります。 一方で、このように被留置人員が増加することによって心配されるのが、留置場の確保であります。留置場は一定の数しかないでしょうから、犯罪が増加したからといって簡単にふやせるものでないと思います。また、被疑者であれ、個人の人権は守られなければなりませんので、きちんとした対応が保障されなければなりません。現状の状況並びに留置場が不足した場合の対応について、県警本部長の御所見をお伺いします。 |
●知事答弁 |
≪神山警察本部長答弁≫ 2つ目に、留置場の現状、あるいは不足した場合の対応ということで御質問がございました。 まず、現状でございますけれども、留置場の設置状況は県下の11署にそれぞれ設置になっております。全体の収容基準人員は約 100人でございます。 留置場の運用状況でございますけれども、先ほど御質問の中にもありましたとおり、被留置者は年々増加しておりまして、昨年、平成13年では延べ収容人員が1万 7,000人余りということで、10年前の約 2.4倍になっているという状況でございます。 議員の御質問の中にもありましたとおり、そうは言いましても人権に配意しつつ対応していかなければならないということで、次のような観点に立って現在留置場の運営を行っております。 まず、ある警察署の収容能力を超えて収容しなければならないというような状況になった場合には、当然ですが周辺の警察署に留置をするという措置をとっております。また、検察官の方に起訴をされまして、実際に捜査を終了しているものにつきましては、できる限り早く拘置所へ移管をしていただくように検察庁の方に働きかけをいたしております。 また、本年度から、先ほど御指摘もありましたとおり、幾つかの警察署の留置管理体制を強化いたしましたし、また、地域的にも東西、そして中部といった5つの警察署を中心にした留置場の集中運用というのを行っておりまして、できる限りそれ以外の警察署の負担を軽くするような工夫をいたしております。 そういったことで、県下全体を見ますと、施設面では一応の収容能力は有しているというふうに考えておりますけれども、特に都市部にある一部の警察署の留置場は、実態から見ると収容能力が不足しておって、他の警察署の留置場を常にある意味で借用しなければならないというような状況になっているということでございます。 今後の対応といたしましては、まず、この冬に完成いたしますけれども、新築されます米子警察署の留置場の収容基準人員については、現在20人でございますけれども、50人ということで相当数の増加をしております。 今後、被留置者、これからも増加が予想されますけれども、全警察署に留置担当の警察官を配置するということは、現在の人員の中では非常に困難な情勢でございますので、先ほど申し上げましたような集中運用ということで、できる限り特定の警察署の留置場を使用していくというような運用を今後も考えております。 また、将来的には警察署の庁舎の建てかえ、特に都市部の警察署の建てかえというようなことを行う場合には、今回の米子警察署の場合と同様に、留置場の収容能力の拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。 |