平成14年9月定例会代表質問(平成14年9月26日)No.14
<スポーツのあり方について> |
競技スポーツといえば、諸外国では小さいときからそれぞれの地域にあるスポーツクラブに所属し、子供から大人まで、初心者からトップレベルの選手までが競技生活を続けるというのが一般的であります。しかし、我が国は、小学校のスポーツ少年団活動及び一部の種目を除き、中学校、高等学校では部活動という形の中で競技スポーツが育っていきました。また、社会人になれば企業スポーツが受け皿となっております。 ところが、21世紀を迎えた日本のスポーツ界は、今まさに大きな転換期を迎えております。経済不況に伴う企業スポーツの縮小、少子化に伴い部活動の存続が危ぶまれるなど、従来からのスポーツ構造が大きく崩壊しようとしているのであります。 そうした現状の中で、地域スポーツクラブの重要性がクローズアップされております。これまでも、社会の多様化に伴い、学校の部活動中心の競技スポーツを地域の中に移行する試みが20年くらい前からいろいろ検討されてきましたが、結局は地域での受け皿の問題、指導者確保の問題などで今日まで先送りされてまいりました。 その試みの1つとして、地域で競技スポーツを指導できる指導者を育てるために、日本体育協会の公認スポーツ指導員、公認コーチ、公認スポーツトレーナーの制度が創設され、その有資格者は県内でも相当あると思います。しかし、残念なことに、日本体育協会の思いは末端の市町村体育協会には通じておらず、公認スポーツ指導員、公認コーチ、公認スポーツトレーナーの大半は、いまだ市町村体育協会とは無縁なものとなっており、十分に生かされていないのが現実であります。教育長として、これらの公認スポーツ指導員、公認コーチ、公認スポーツトレーナーが生かされていない原因、その背景、今後のあり方について御所見をお伺いします。 |
●教育長答弁 |
最初に、県内の状況を御説明させていただきますが、平成13年の10月の調査でありますが、日本体育協会への登録状況を言いますと、公認スポーツ指導者のうち競技別の指導者に、これには1つは地域でスポーツの指導者に携わる人、これが
420名、また選手の競技力の向上の指導者、いわゆるコーチと言われる方が81名ございます。また、トレーナーというのはスポーツドクターやコーチと協力してスポーツ選手の健康管理やコンディションの管理を担当するわけですが、今のところ、このトレーナーの資格を持っている方はございません。今年度、競技力向上対策事業として、県の補助を受けながら2人が受講中であります。 地域スポーツ、競技スポーツそれぞれの分野において、指導の知識を有しておられるスポーツ指導者の活用はとても必要なことでありまして、運動部活動の外部指導者として、中学校、高等学校ではそういった外部指導者を招いておりますが、平成12年度には36名であったものが、平成13年度、昨年度では88名とふえております。しかしながら、先ほど申しましたように、県内には 500人を超す公認の指導者がおりますが、市町村が行うスポーツ教室で実際に指導に携わっている人は、2年前の数字でございますが、平成12年度の実績で50名でございまして、生かし切れていない、ちょっともったいないというようなイメージを持っております。 生かし切れていない原因とか背景を少し考えてみますと、県とか県の体育協会から市町村の体育協会や学校に対して有資格者の名簿を送ったりはしておりますが、PR等が少し不足していたのではないか。それから、学校の運動部活動においても、もっと有資格者の指導を受ける機会が持てるのではないか。あるいは有資格者の競技種目、いろいろありますが、少ない種目ではフェンシングが1人とか、アーチェリーが3人とか、少ない種目もございまして、少ない種目では指導者の育成を今後働きかけていく必要があるのではないかと思っております。 そういうことを踏まえまして、今後、先ほど申しましたように有資格者の活用をどんどんPRするとともに、必要な資格を取得する上での支援等も考えていきたいと思っております。 |
<スポーツのあり方について>No.2 |
国としては、平成12年にスポーツ振興基本計画を策定し、向こう10年間に全国の各市町村に1つは総合型スポーツクラブを育成することが目標として掲げられておりますが、県としてはこの取り組みをどう展開されていくのか、また学校の部活動との関係をどうされるのか、教育長の御所見をお伺いします。 |
●教育長答弁 |
総合型地域スポーツクラブは、市町村において子供から高齢者までスポーツを愛する人が参加して、いろんなスポーツを楽しむことができるという組織でありますが、本県では平成12年度に北条町で市町村が主体となって初めて設立され、本年度からは智頭町ほか8つの地域で設立の動きがございます。これから地域でのスポーツの取り組みを進めていく上では、新しい活動母体として考えられると思っております。 今後、地域における生涯におけるスポーツの振興ということを考えるときには、高齢化が進む中で、生きがいのある生活でありますとか活力のある社会をつくる上では設立の意義はあると考えておりまして、活動状況を紹介したり国の助成策などについての情報を提供して、取り組みを進めていきたいと思っております。 また、部活動との関連では、学校の部活動というのは、自分のやりたい特定のスポーツを同じ年齢の仲間と競技会でありますとか大会を目標に活動している、学校生活の中の重要なものであります。中学校、高校の部活動というのは、やはり学校教育活動の一環として充実を図っていきたいと思っております。 両者の関係につきましては、スポーツクラブと部活動のチームとの交流試合でありますとか、学校施設の開放、あるいは共同での利用というようなことが考えられますが、双方の設立の目的に違いがありますので、今すぐに部活動を社会体育への移行というようなことは考えられないのではないかと思っております。 |
<スポーツのあり方について>No.3 |
一昨日、夏の国体で由良育英が水球で優勝、ヨット少年女子で鳥取西高の浜口さんが優勝という朗報が入りました。大変うれしく思っているところであります。この朗報が入ったために、質問が非常にしにくい部分がありますけれども、これまでの状況という中で質問したいと思います。 まず、競技力の向上対策についてお伺いします。 鳥取県は昭和60年にわかとり国体、平成7年に全国高校総合体育大会を開催しました。殊にわかとり国体におきましては、全国で一番小さい県でありますけれども、60万人県民が一丸となって、歓迎並びに大会運営に当たってまいりました。国体のからくりはいろいろあったにせよ、各競技において鳥取県チームの連日の活躍には、県民が一喜一憂したということであります。 早いもので、あれから18年余りたちますけれども、競技の世界は勝つか負けるかであります。1番があれば、必ず最下位もあります。最近の鳥取県の国体の成績を見てみますと、阪神タイガースではありませんけれども、いつも落ちつくところに落ちついているというふうな雰囲気で、ちょっと残念であります。私は、必勝万能主義者ではありませんけれども、藤井教育長にお尋ねします。人口が一番少ない鳥取県の選手団の実力は、ことしはいいようですけれども、この程度が限界と思われるのか、それとも、まだまだ力が出し切れてないと思われるのか、御所見をお伺いしたいと思います。 |
●教育長答弁 |
国体における鳥取県選手団の実力というようなお尋ねだったと思います。 二巡目に入りましてから、昭和63年以降になりますが、国体の総合順位の平均というのを出してみましたら、42.2位ということでございます。決して今の順位がよいというものではありませんし、目標は常に高く持つことが必要だと思っております。しかしながら、競技人口が少ないとか、企業が少ないとか、有望な成年選手の獲得が難しい中で、よく頑張っているのではないかなと思っております。特に男女とも少年選手の活躍がありますし、期待されるところであります。今後とも、各競技におきまして常に1つ上を目指しながら、トータルとして国体における順位が上がっていけばなと思っております。 なお、先ほど伊藤議員がおっしゃいましたが、国体の夏季大会が24日に終了しております。由良育英高校の水球が優勝いたしましたし、ヨット、今はセーリングという名前になっておりますが、セーリングで鳥取西高の浜口選手が優勝しております。そのほかカヌーとか弓道などの種目で健闘しておりまして、例年同様、高校生の活躍が目立っております。 これから10月には秋の国体が開催されるわけですが、選手、役員の皆さんには、県の栄誉のためにより一層の奮闘をお願いしたいと考えております。 今後とも、選手、監督の皆さんの努力をお願いするとともに、関係者の御意見をよくお聞きしまして、鳥取県の持つスポーツの力が十分に発揮できるような環境を整えていきたいと考えております。順位ということでしたら、決して今の順位で満足することなく、1つでも上を目指すことが競技スポーツでは必要なことだと思っております。 |
<スポーツのあり方について>No.4 |
わかとり国体と全国高校総合体育大会のときには、中高校生の選手強化といいますか、選手の育成が各競技団体の積極的な取り組みの中で、その努力に花が咲いたと思っております。 確かに鳥取県の人口は全国で最少でありますが、子供たち個々が秘めている能力、個性は、まだまだ磨けば光るものは十分持っていると私は思っております。しかし、子供たちの持っている能力、個性が磨き切れていないのが現状ではないかと思っております。その原因として、指導者不足、強化資金不足が挙げられると思います。これらの問題への対応について、教育長の御所見をお伺いします。 |
●教育長答弁 |
最初に、選手強化対策についてのお尋ねでございます。 選手の強化のためには、選手の育成確保というのはもとより、優秀な指導者の育成確保がとても大切だと思っております。そして、選手と指導者が一緒になって強化に取り組めるような条件整備が必要と思っております。 特に成長過程にあります日々技量が向上していくような中学生、高校生においては、指導者の存在が非常に大きいものがありまして、このことは専門家でもありません私でも、現場を見るにつけ、関係者の皆さんのお話を聞くにつけ、非常に実感しております。引き続き、競技力向上を大きな柱として指導者対策に努めていきたいと思っております。 毎年の予算で必要な競技力向上対策費というのは確保されていると考えているところですが、もちろん今後状況の変化もありますので、状況の変化を見ながら、必要な競技力向上対策費の確保に努めたいと考えております。 また、この競技力向上対策費を有効に活用していくとともに、強化のための施設でありますとか備品などの条件整備も必要だと思っております。例えば八頭高校では今、人工芝ホッケー場の整備を進めております。また、これは八頭高校ではありませんけれども、ボートや馬術競技用の強化用備品の整備も行っております。今後とも、年次的に必要な強化用備品の整備に努めて、競技力の向上を図っていきたいと思っております。 |
<スポーツのあり方について>No.5 |
また、競技によっては個人、民間でクラブやジムをつくり、選手養成をされているところもあります。これからの社会体育のあり方を考えていく中で、こうした民間型といいますか、地域の中にスポーツクラブを育成するために、そうしたクラブをNPO法人化、こういうものを奨励するとともに、財政的な支援も考えたらいかがなものかと思いますが、教育長の御所見をお伺いしたいと思います。 |
●教育長答弁 |
次に、地域スポーツクラブのNPO法人化というようなお尋ねがございました。今後、NPO法人化というのは進めていくことが必要だと思っております。 NPO法人化となれば、どういうメリットがありますかお答えさせていただきますと、1つには、活動に継続性が持ちやすくなる。あるいは対外的に認知されますので、外部に働きかけやすい。あるいは具体的には総合型地域スポーツクラブへの発展を目指す場合には、スポーツ振興くじの助成というのが受けやすいなど、いろいろなメリットがございます。 NPO法人への支援についてもお触れになりましたが、行政からの補助金のような形での直接的な財政支援というのは、NPO法人の性格から適切でないとは思いますが、例えば学校の体育館とかグラウンドを無料開放して使っていただくような支援でありますとか、あるいは市町村単位で考えますと、子供たちを対象としたようなスポーツ教室をNPO法人に委託するというようなことも考えられると思いますし、また、先ほど申しましたスポーツ振興くじの助成というような制度もあります。こうしたことを紹介しながら、法人化の取り組みを含めて支援していきたいと考えております。 |
<スポーツのあり方について>No.6 |
また、地域スポーツクラブの中で不可欠なのが、スポーツプログラマーであります。スポーツプログラマーといいますのは、各年齢層の人々が無理なくスポーツを楽しめたり、個別のメニューのプログラムをつくったり、スポーツ活動全般の指導、助言をすることが仕事であります。新しい公的資格でありますので、県内の有資格者はまだまだ少ないと思います。いずれ近いうちにやってくる地域スポーツクラブの育成のために、スポーツプログラマーの養成が急務と思われますが、教育長の御所見をお伺いしたいと思います。 |
●教育長答弁 |
スポーツプログラマーのことをおっしゃいました。現在、県内では15名のスポーツプログラマーがおります。これらの方は、県立のスポーツ施設や学校などで、その資格を生かした指導を行っております。例を挙げさせてもらいますと、倉吉の体育文化会館の指導員でありますとか、公立小学校の教諭、警察、自衛隊などで職業をそれぞれ持ちながら、各種の研修会や講習会において講師や指導者として活躍しておられます。 伊藤議員からは先ほど総合型地域スポーツクラブの御質問もありましたが、この総合型地域スポーツクラブというのも、この制度はスタートしたばかりでありますが、少子・高齢化社会で進む中では、今後この活動も盛んになっていくだろうと思っておりますし、そのためにはスポーツプログラマーがそういったところで活躍するということも必要だろうと思っております。市町村と一緒になってスポーツプログラマーの積極的育成に努めていきたいと思っております。 |