平成14年9月定例会代表質問(平成14年9月26日)No.4

<環境問題について>

 東京では、この 100年間に平均気温が 2.9度上昇したという報道がありました。また、南極では厚さ 200メートルから 300メートルもある棚氷が急激な勢いで解け始めているほか、1万2000年もの間氷に覆われていた一帯が、クジラが泳ぐ青い海原に変わってしまったと報告されています。つまり、私たちが豊かさをひたすら追求する中で、多くの森を開墾し、石油を燃やし続け、多くの二酸化炭素を排出し続けた結果から、地球温暖化という現象を引き起こしてまいりました。この結果、北極や南極等の氷が大量に解け始め、海水面の上昇により太平洋に浮かぶ島々は、まさに今、海中に沈もうとしているのであります。
 私たちは、少し暑ければクーラーに当たり、少し寒ければストーブをたき、日々快適な生活を送っているわけでありますが、次世代を生きる子供たちのことを考えれば、背筋が寒くなる思いであります。鳥取県でも地球温暖化防止に向けてのアクションプログラムが作成されたわけでありますが、現実には危機感もなく、個々の問題として認知されていないのが現状ではないでしょうか。NPOの皆さんや活動家の皆さんの活動の範疇でしかないのではないでしょうか。知事として、この問題に対する認識、今後県民の皆さんにどう理解を求めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。
 
●知事答弁
 環境政策で、地球温暖化防止に向けての県民の理解が乏しいのではないかということでありますが、私も同感であります。これも総論として地球温暖化防止は防がなければいけないということをみんな理解しておられると思いますし、これに反するようなことを言われる方はまずおられないと思うのでありますが、それならば、その理解が具体的な行動、実践に結びついているかというと、そこのところはおぼつかない、不十分であると思います。
 県は、ISO14001 を認証取得しまして、この経験を広く県民の皆さん、県内の企業、市町村にも実践していただきたいということでお勧めをしておりますし、県版のISOとでも言うような県独自の環境指針というものもつくって、これも県内の企業の皆さんに活用していただいたりもしております。先ほど申しましたように、県内企業、市町村にもだんだんと浸透しつつあるので、この動きをさらに強めたいと思っております。
 そこから先、一番重要なのは、やはり県民の皆さん一人一人の生活の分野でありまして、これも県内版のISOを市町村と協力しながら普及していく過程で、それぞれの各家庭にも広めていきたいと思っております。例えば各家庭で環境家計簿なるものをつくり、それぞれ日々点検をしてもらう。例えばスイッチを小まめに切るとか、クーラーは不必要な場合にかけないとか、設定温度をあんばいするとか、そういう本当に細かいことをやっていただくような仕組みであります。紙なども、私も日々心がけておりますけれども、無造作にくず箱に入れないで、資源回収の方に丁寧に回すということ、これを一人一人がやられれば随分違ってくるのであります。自分が一人ぐらいやったってどうってことないじゃないかとつい思ってしまわれる方が多いのでありますけれども、しかし、結果として環境を悪化させるのは一人一人の行為の積み重ねでありますから、決して自分一人ぐらいがやったからどうということないというふうに思わないで、みんなでやっていくというそういう気風をぜひつくっていく、県民一人一人の皆さんの自覚と実践を促していく、そういう施策を進めていきたいと考えております。
 
<環境問題について>No.2
 私たちは大量生産、大量消費の時代を送る中で、大量のごみを各家庭や事業所で排出をしてまいりました。資源のリサイクルも少しずつでありますが進んでいるように思いますが、出されるごみのすべてはリサイクルできるものではありません。結局は焼却灰、汚泥、瓦礫等一般廃棄物や産業廃棄物としてどうしても最終的に排出されます。鳥取県内では、一般廃棄物が平成12年度で23万 7,000トン、産業廃棄物が平成13年度で 124万トン排出されています。これに対して県内の処分場は、一般廃棄物の最終処分場が稼動中のもので2施設、産業廃棄物用の安定型処分場は8施設あるものの、管理型処分場はなく、焼却灰、汚泥等は最終処分業者を通して県外に運び出されているが実態であります。県内でも下水道整備が急ピッチに進められていますが、現在の状況では川や海、湖の水質はよくなるが、下水道から出る汚泥は県内では処理できないのであります。そういう観点から、現在、小沢見地区で進められている管理型処分場の設置に期待をするところでありますが、処分場を確保するための今後の対策並びにその対応について、知事の御所見をお伺いします。
●知事答弁
 産業廃棄物の処分場の件でありますが、認識はどうかということでありますが、私は県内の管理型の最終処分場はもう不足していると思いますので、これは必要であります。それは、例えば県内産業をこれから発展させようとか、企業誘致しようとか、それはもちろん雇用にもつながるわけでありますけれども、そういうことを考えた場合に、やはり適正な産業廃棄物処分場の立地というのは欠かせない課題であります。
 この課題を解決するために、従来、官民挙げて第三セクター方式で法人をつくって取り組んできたわけで、それが今鳥取市の小沢見地区で検討を進めているわけであります。この行方がどうなるか、よくわかりません。これはセンターの方で努力されているわけで、いずれ何らかの見きわめをされると思いますけれども、そういう第三セクターのみに頼るといいますか、第三セクターのみに限定することなく、本来は民間の事業者の皆さんが適正な産業廃棄物処分場を設置する、これが我が国の産業廃棄物処分の仕組みでありますので、法律に基づいて適正な処分場をちゃんとつくられる、それを県という行政機関が適正になるように目配りをしていく、この体系に基づいて、優良な民間事業者の皆さんに適正な最終処分場を確保していただきたいと考えております。
 そのために、既にこの議会でも可決をしていただきましたけれども、鳥取県の場合には産業廃棄物処理施設設置促進条例なるものを設けておりまして、優良な民間による処理施設を立地しやすい環境を整えているところであります。そこに期待をしております。
 

<環境問題について>No.3

 鳥取県版の環境管理システム認定制度、TESがことしから創設されました。本当に心憎いほどすばらしい制度であると私は評価いたしております。この新しい鳥取県版の環境管理システム認定制度、TESをうまく普及させれば、まさに県民各層、環境意識の高揚につながるものと思っております。鳥取県を環境立県とすることが本当にできるものと思っております。この鳥取県版の環境管理システムの認定制度、TESを知事としてはどう普及されていくのか、御所見をお伺いしたいと思います。
●知事答弁
 鳥取県版の環境管理システムでありますが、これは県内の企業の皆さん、団体の皆さん、市町村の皆さんにぜひ御活用いただきたいと思うのであります。本来は、いわゆるISO14001 という制度がありますので、これをやっていただくのが一番いいと思いますが、これはかなりのコストもかかります。ですから、そんなにコストをかけないでその実を上げたいという方には、鳥取県版のISOシステムというのは非常にうってつけだろうと思います。
 ただ、世の中ではちゃんとした本当のISO14001 を取っているかどうかで、例えば商品購入などで差を設けているような分野がありますので、そういうときには鳥取県版といってもそんなに効果はないかもしれませんが、そういうこと以外に実際にその企業、団体を環境面できちっとした運営に変えたい、実をとりたいというところには、鳥取県版の環境管理システムというのは非常に有効であり、かつ低コストであると思いますので、御活用いただきたいと思います。
 これは、いろんな局面で広めていきたいと思いますが、一番有効なのは、既に鳥取県版を活用されている企業が数社ありますので、そういうところのその後の模様、効果、そういうことを大いに広めていきたい、普及していきたい、紹介をしていきたいと思っております。そういうところから広がっていけばと願っているところであります。
 

<環境問題について>No.4

環境問題でもう1点、飲料水について質問します。
 海外に出かけて一番思うのは、日本の水のありがたさであります。初めて海外に出たとき、いつでも、どこでも、安心して生水を飲み続けてきました私にとりましては、本当に異常な世界でありました。我が国は、山に行けばこんこんと清水がわき、蛇口をひねれば生水がいつでもおいしく飲めます。本当に日本は幸せであるなという実感をいたしております。
 しかし、県外の一部におきまして、メトロヘモグロビン血症を起こす原因とされる高濃度の硝酸性、さらには亜硝酸性窒素などが検出され、住民の健康が心配されている地域があります。特に鳥取県は農業県であり、過去にはたくさんの化学肥料、農薬を使ってきた経緯があります。県内の地下水並びに水道の検査結果とその対応について、御所見をお伺いしたいと思います。
●知事答弁
 県内の水道水などの検査体制などにつきましては、生活環境部長の方から御答弁申し上げます。
≪谷口生活環境部長答弁≫
地下水及び水道水の検査結果、その対応等についてでございます。
 まず、水道水につきましては、水道事業者である市町村が水道法に基づいて検査を行っております。平成13年度、 4,902件の検査を行っております。そのうち87件が水質基準を超過をしております。超過した項目は、大腸菌類、一般細菌、あるいは色度、濁度等々でございます。
こうした超過項目は、いわゆる消毒状況の確認、あるいは色とか濁度といった清浄に関する項目でございます。いわゆる直接健康に影響のある硝酸性窒素、あるいは亜硝酸性窒素、これらにつきましては水質基準以下でございます。
こうした水は、直ちに水道事業者がみずから消毒の徹底、あるいは取水制限等の対応後、再検査を行って、水質管理を行っております。
水道水以外の地下水でございます。これは河川、湖沼と同様に、水質汚濁防止法に基づきまして、県が水質の常時監視を行っております。これは平成元年から定点測量を行っておりまして、平成元年以降、4地点で環境基準を超過をした場所がございます。
 まず、硝酸性窒素あるいは亜硝酸性窒素は2地点ございます。平成12年に基準オーバーしたところが見つかりまして、平成12年、13年も引き続き検出されております。これにつきましては、現在、継続監視中、あるいは周辺の井戸等調査をすると同時に、原因究明等を行っているところでございます。テトラクロロエチレンが1地区ございます。これは平成8年に検出をされたものでございます。ただ、翌年は基準以下に下がっております。それから、フッ素が1地点、これは平成13年度に検出をされておりまして、現在、調査中でございます。こうした基準超過井戸、いずれも飲用ではございません。生活雑排水で使っておられるものでございます。ただ、飲用不適であるということを所有者に指導しております。
 こうした今でも残っているところ、亜硝酸窒素等のところについては、汚染の原因あるいは範囲の確定のために周辺地区調査を行うとともに、地下水水質の推移を継続監視していきたいというふうに思っております。
 

<環境問題について>No.5

 ただいま県下で水質汚濁防止法の基準値を上回るところが4地点あるということでありました。現在、詳細については調査中ということでありますけれども、将来、原因特定、そういうのができましたら情報公開をされるのでありましょうか、お伺いしたいと思います。
●知事答弁
≪谷口生活環境部長答弁≫
原因ということでしょうか。調査結果については、もう既に公表はしております。
 原因はまだわかりません。今調査中でございますので、原因がわかれば公表はしたいと思っております。