平成14年9月定例会代表質問(平成14年9月26日)No.5
<教育問題について> |
我が国は、高度経済成長の中で学歴が重要視され、偏差値と受験勉強中心の競争社会の中で、子供たちの心から純粋さを奪い、子供たちの間に殺伐とした社会をつくってまいりました。また、社会の変化とともに、学校現場においては校内暴力、不登校、学級崩壊、LD、ADHD等と、家庭においても家庭内暴力、児童虐待、引きこもりなどさまざまな問題が発生してまいりました。結局、大人社会の仕組みが子供たちの世界に反映され、大人社会の犠牲になっているのは結局子供たちであることを、私たちは絶えず認識しておかなければならないと思います。 |
●知事答弁 |
教育についてでありますが、教育についてどういう所見を持っているかということでありますが、これも幾たびかこの場でも申し上げたと思いますが、私は、教育というのは一人一人の子供たちが潜在的に持っております個性、能力をいかんなく発揮させる、それが1つの大きな目標だろうと思います。その一人一人の子供たちが、人生を豊かに生き生きと過ごせるようにする、その準備も教育の重要な要素だろうと思います。 ということは、やはり自主性とか主体性ということが非常に重要になってくるわけでありまして、そういう子供たちの自主性、主体性を育むには、やはり教育現場の教育環境も自主的であり、主体的でないといけないと思うのであります。これが教育界全体の中の学校現場というのが末端に位置づけられて、国でありますとか県教委から引きずり回されるようなそういうことであっては、決して自主性や主体性は身につかないわけでありまして、私は教育というのは、教育こそ現場主義に徹すべき分野だと思っております。 ですから、先ほど伊藤議員も文部科学省の護送船団的な行政に対する批判も言われましたが、私も同感でありまして、国も県も市町村もそうでありますが、ぜひ学校現場というものを一番の中心に据えて、その学校現場が生き生きと子供たちの教育環境を整えられるようなその応援をする、その仕組みをつくる、これが今の教育の課題だろうと思っております。 その際、一番重要なのは市町村の教育委員会だろうと思うのです。市町村の教育委員会がもっと自主性を持って、力量を備えて、あるときには学校現場もリードできるし、学校現場を支えることもできるし、国や県にちゃんと現場の実情を伝えることができる、そういう意欲と能力を持つことが必要だろうと思います。これまではどちらかというと市町村の教育委員会というのは教育行政の中では末端であります。そうであってはいけないと思うのです。教育、特に義務教育の分野では教育行政の中心でなければいけない、こういう自覚をぜひ持っていただきたいと、実はこの8月の行政懇談会の際にも市町村長さんに私の方から強くお願いをしておいた次第であります。 |
<教育問題について>No.2 |
また、知事は今年度から鳥取県版ニューディール政策の一環として、小学校1〜2年生の30人学級を実施されたわけでありますが、このことについても文部科学省は余り機嫌がよくなかったとお聞きいたしますが、この点についても知事の感想をお伺いします。 |
●知事答弁 |
小学校1〜2年生の30人学級についてでありますが、これは当初文部科学省は、当初というか今でもそうかもわかりませんが、不快感を示しておられました。正直なところそうであります。私もそれは承知しておりましたが、しかし、教育はやはりさっき言いましたように現場主義でありまして、現場でどういう教育環境を整えるのが子供たちにとって一番いいかということを中心に考えるべきで、そうすると従来から話のあった30人学級というものをやってみる価値は大いにあるだろうと思いました。それについては、中央集権意識の強い教育行政の中では、やはり目ざわりであるとか、勝手なことをするとか、自分たちの威令が行き届かないとか、そういう意味での不快感とかはあったのだろうと思います。 私も直接文部科学省に出向きまして、担当の幹部の方とお会いをしまして、当方の考え方も申し上げました。その話し合いの中ではかなり理解を示していただけたと思います。それかあらぬか、その後、文部科学省の方でも内々、教員の配置基準などを国が一律に決めるのではなくて、それぞれの県というよりむしろ市町村の方で独自に決められるようなもう少し柔軟な枠組みにしたらどうかというような意見も含めた見直しの検討が行われているのだということが一部新聞に出ておりまして、真偽は定かでありませんし、結論はどうなるかわかりませんけれども、1つの鳥取県の試みというものが国の制度を柔軟にする方向に向けてのきっかけになったのかなという気はしております。ですから、最近では国からの嫌がらせとかそういうものは多分ないのだろうと思います。これは教育長に聞いてみないとわかりませんけれども、恐らくそうだろうと思います。 |
<教育問題について>No.3 |
藤井教育長にお尋ねします。教育長就任から半年がたち、一応教育全般についての勉強期間は終了されたと思います。県民の皆さんも、若くて新しい教育長に大きな期待をされていると思います。プレッシャーを与えるわけではありませんが、そろそろ来年度の予算編成も始まることもあり、これまでの鳥取県教育の課題を踏まえて、どんなことを大きな柱としながら鳥取県教育の形をつくり上げていきたいのか、教育長の御所見をお伺いします。 |
●教育長答弁 |
最初に、来年度に向けての考え、どのようなことを柱にというような御趣旨の御質問でありました。 私自身、就任してから半年余りがたちますが、まずは現場を大切にしたいという気持ちで取り組んでまいりました。現在まで老朽化による建てかえでありますとか、高等部の全員入学を進めている養護学校、あるいは30人学級等の新しい取り組みの状況等を把握するため、努めて学校を初めとした現場に足を運ぶようにしてまいりました。また、毎月定例の教育委員会とは別の日程で、私を含め6名の教育委員での現場視察も実施したりしてまいっております。このように現場を直接自分の目で見て、耳で聞いたものを初めとして、教育委員会における議論や、さらには知事部局を初め市町村との連携、役割分担といったことを大切にして、今後とも取り組んでいきたいと思っております。 来年度の予算に向けましては、学校を初めとした現場の意見をよく吸収し、教育委員会挙げてよく考え、教育委員の皆さんとも議論していくことが必要ですが、まずは子供たちの教育のことを主に考えて、柱といいますか、あえて申させてもらいますと、次の4つの視点を大切にしていきたいと思っております。 1つは、学力の定着、向上を初め個々の子供の力を伸ばす視点でございます。これは忘れてはいけないと思っております。2つ目には、文化、スポーツ等による豊かな心やたくましい体の育成、そして一人一人の人権を大切にする視点であります。3つ目には、社会のルールやマナーを大切にする規範意識といいますか倫理観、これを育てていくというふうな視点でございます。そして4つ目には、子供たちを取り巻く家庭や地域の教育力を向上していくという視点でございます。 申すまでもなく、教育行政は非常に広範な分野でございまして、多くの課題があります。主役の子供たちを中心として、県、市町村、学校、地域、PTA、それらのスクラムを大切にして、21世紀の鳥取県を担う子供たちを育てていきたいと思っております。県民の皆さんの理解と実践をしていただけるような教育行政を目指していきたいと思います。 来年度に向けましては、これから具体的な施策をよく練っていきたいと思っております。 |