平成14年9月定例会代表質問(平成14年9月26日)No.8

<若者対策について>
 昨年、県が調査した健康問題に関する意識調査によると、20代の男性の72.2%が、20代の女性の85.4%が、1カ月以内にストレスを感じたと回答しています。そのストレスの原因ですが、人間関係、仕事、将来、金銭など多岐にわたり、ストレスを感じたと答えた人のうち男性の40%、女性の56.7%がストレスを処理できていないと答えています。この調査結果からわかるように、時代が速く流れ、時代が大きく変化する中で、今県内の多くの若者は悩み、苦しんでいるのです。鳥取県の将来を本当に考えるとするならば、将来引き続きこの鳥取県で生活し、鳥取県を担っていく若者の現状と課題をしっかり行政としても把握し、若者が鳥取県に生まれてよかった、鳥取県に残ってよかったと思える施策をもっと積極的に推進することが重要ではないでしょうか。県における若者対策について、知事の御所見をお伺いします。
●知事答弁
 若者対策でありますが、今県がどんなことをやっているか、どんなことを考えているかということも含めて県民生活部長の方から御答弁申し上げますが、私は基本的には、我々の住んでいる社会というものが、若い人の考えとか意思、そういうものを社会や職場や家庭もそうかもしれませんが、もっと生かせるようなそういう風土をつくっていかなければいけないと思っております。どうしても今、若者、若い人たちの発言権というものが少ないですし、いろんな組織の中での若い人の活躍の舞台、みずからの意思を実現する機会が少ないのではないかという気がします。
 これは誤解を生じるかもしれないのですが、誤解を生じることも承知の上であえて申し上げますと、やはり日本の社会というのは、もう少し若い人に早くバトンタッチしてもいいのではないかという気がするのであります。高齢の方がいつまでも組織や企業やいろんなところで事実上の実権を握っているというのは、やっぱり活力の点では劣ってくるのではないか。これは近隣諸国を見て実はそう思うのであります。日本も昔は隠居の制度というのがあって、若い人とのバトンタッチがうまくいった時期もあったのでありますけれども、最近は、民間企業などを見ても必ずしもそうでもないわけであります。そういうことも1つの背景にあるのかなという気がします。これは本当に誤解を与える可能性がありますけれども。(笑声)
 いずれにしましても、私はいつも申し上げますけれども、老若男女がほどよいバランスをとって社会や組織や企業や集団を運営管理していくという、こういう風土に日本はしていくべきだと思っております。
 どんなことをしているかは、担当部長の方から御答弁申し上げます。
≪谷口生活環境部長答弁≫
まず初めに、若者対策のための具体的な施策等についてでございます。
 議員が言われましたように、若者が鳥取県に生まれてよかったと思うことは、本当に重要なことだというふうに私も認識しております。一口に若者対策と言いましても、本当に多岐にわたって、そして多種多様でございます。現在、いろんな分野で、例えば生きがいのある職場づくりでありますとか、触れ合いある地域社会づくり、あるいは国際交流、国際協力の推進、健康づくり、育成環境の浄化と非行防止活動等々、いろいろな分野で必要と思われる施策を実施しているところでございます。
 もう1つ、若者の現状と課題を反映させるために、直接若者の意見等を聞き、施策に反映させる必要があるということから、今回、青少年21世紀ビジョンというものを現在策定中でございます。このビジョンは、目指す青少年像、そしてそれを実施するための大人が果たすべき役割を明確にして、関係行政機関あるいは育成団体等が各施策を企画立案する上での方向性を示しながら、鳥取県の青少年施策を総合的に実施していこうというものでございます。
 平成12年度に青少年の育成実態調査を実施しておりまして、これらを参考にしながら、考慮しながら、平成13年度に鳥取青少年の 100人委員会というものを開催いたしました。これは、中学生から30歳代の青少年、延べ 126名の皆さんの意見あるいは提言を聞きながら、こうした青少年の思いを反映させていきたい、そういうビジョンでございます。こうしたビジョン等に基づきながら、今後も本当で若者が鳥取県に生きてよかった、住んでよかったと思われるような施策を推進してまいりたいというふうに思っております。
<福祉事業の評価と見直しについて>
 片山知事誕生以来、福祉先進県づくりを鳥取県の重要課題と掲げられ、あらゆる分野の福祉施策が見直され、これまで日が当たらなかった分野へ次々と新たなる福祉施策が実現されてまいりました。これまでも数多くの事業がありましたが、福祉サービスを必要とする人のニーズとずれがあったりして、利用しにくかった面が多分にあったと思います。本来福祉というものは、福祉サービスを必要とする一人一人のニーズに沿う形で利用されてこそ、その真価が発揮されるものだと思います。そうした中で、鳥取県においても多岐にわたるニーズにこたえるため、数多くの福祉施策が創設されているわけでありますが、時代の速い流れの中で、利用者とずれができたり、目的が不明確になったりしてくる事業も出てくるものと思います。県としては、このようにたくさんある福祉施策の評価と見直しをどう進められるのか、知事の御所見をお伺いします。
●知事答弁
 福祉施策の評価と見直しでありますが、福祉は、私は就任以来、当事者中心主義、現場主義ということを標榜しております。例えば障害者福祉施策のあり方検討会などを設けまして、障害者福祉も現場の方、当事者の方、当事者の方が無理な場合は家族の方、現場で福祉に当たっている当事者の方、こういう方から意見を聞いて施策を練り上げていこうということでやっております。かなり成果が出てきたと思います。
 ただ、これも、やはり長年続けておりますと、どうしても形骸化したり、ずれてくることがありますから、随時点検をする。そのその点検も、当事者の方とのフィードバックによって点検をするということが必要だろうと思います。それに心がけていきたいと思いますし、さらには県の行政を評価する監査委員の皆さんとか議会の皆さんにも、ぜひこういう点についても関心を持っていただいて、十分点検をしていただきたいと思います。
<補助事業施設の入札のあり方について>
 7月、中部地区の社会福祉法人で、知的障害者更生施設改修工事の入札が行われましたが、入札に参加した10社中9社が、最低制限価格を下回り失格となり、最も高い金額を示した業者が落札したと報道されました。前代未聞の入札結果となった背景には、最低制限価格が予定価格の99.6%に設定されていたということであります。通常、入札制度というのは、粗悪な工事を防ぐため、最低制限価格を県に準じて設計価格の80%程度にして、入札参加業者の皆さんにしっかり汗をかいていただき、最低見積もり価格業者に落札されるものと理解しています。国民の税金を使った補助事業であれば、国、県の入札制度に準じた入札が行われるのが当然であると思うわけでありますが、入札の基準の有無についてお伺いします。
 一般的には、予定していた施設が公正な競争の中が安く完成すれば、税金のむだ遣いもありませんし、福祉法人自体の持ち出しも少なくて済むのではないかと思いますが、なぜこんな入札が行われたのか、なぜ最低制限価格が予定価格の99.6%であったのか、県としての見解と指導について、知事の御所見をお伺いします。
●知事答弁
 民間の福祉法人で入札に際して不明朗なことがあったのではないかということでありますが、それに関連して、民間の福祉法人などが入札を行う場合の基準はないのかということでありますが、私は、基準の有無にかかわらず、民間の施設の管理者、運営をする方も、やはりちゃんと公正というものを一本基本にして、入札も含めた管理運営を行うべきだと思っております。
 そうは言いましても、いろんな法人がありますので、一定のガイドラインというようなものはあってもいいのかなと思っております。そんな点につきまして、福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。 
実際に不明朗な入札があったのではないかということでありますが、私も伊藤議員が御指摘の法人が行った入札について、報道も含めて事情を把握してみましたけれども、1つは、県の組織でありませんので、独立した民間の法人でありますから、この法人の行う契約について県が個別にああしろ、こうしろと言うことはなかなか難しい面があります。ただ、税金をかなり投入して行う事業でありますから、公共性を帯びているということは確かでありますので、やはり公正でなければいけない。できる限りコストを下げる努力をしなければいけないと思います。
 今回のこの結果を見ますと、極めて不自然であります。私もそう思います。当事者の方はいろいろと事情を説明されたようでありますけれども、到底理解しがたいものであります。県としては、そういう契約をされることは民間の契約自由の原則だからしようがないかもしれませんけれども、不明朗な結果に基づいて、それによって計算した補助金を全額出すわけにはいきませんよという話を申し上げました。そうしましたところ、もう一回入札自体をやり直すということになったのだろうと思います。経過と結果はそういうことであります。当事者でありませんので事情はよくわかりません。
 ただ、私の感想を申し上げておきますと、昔、池田内閣のころに政府がつくりました特殊会社、国策会社の電源開発という会社があったのでありますけれども、これが福井県の九頭竜川でダムをつくる際に、九頭竜川ダム事件というのがありました。これも、最高価格の札を入れたゼネコンが落札をしたわけであります。それには最低制限価格というものが作用していまして、最低制限価格を非常に高くつけたために、最高入札者が落札をするという非常に変な結果になったのであります。それについては真偽のほどはわかりませんが、当時の報道その他では、黒金泰美官房長官がそれに絡んでいて、黒金さんでありますから、その背後で黒い金が動いたのではないかということのようでありました。(笑声)これは石川達三の手によって「金環蝕」という小説に仕立てられておりまして、私は今回の事件を見まして「金環蝕」をまざまざと思い出したわけでありまして、似たようなことがあったのかなと。これは単なる推測でありますけれども。
 法人の理事者の皆さんは、ぜひ公正ということを旨としていただきたい。民間の法人ではありますけれども、それは公的な存在でありますので、その点を決して忘れないようにしていただきたい。それはしかも、経営者だけではなくて、理事長とかだけでなくて、理事の皆さんの責任でもあるのです。そのために理事会があるわけでありますから、名前だけ連ねてシャンシャンではなくて、理事の皆さんもそれぞれの法人の運営にちゃんとした責任を持っているという自覚を持っていただきたいと思います。
≪石田福祉保健部長答弁≫
 まず、福祉施設の入札の基準についてでございますけれども、県といたしまして、社会福祉施設についての建設工事の入札につきましては、「社会福祉法人における建設工事の契約手続等について」という文書を出しておりまして、その中で、社会福祉施設の整備を行う場合には、県の公共工事に準じまして、鳥取県建設工事執行規則に基づく適正な事務処理を行うよう指導しているところでございます。中身といたしましては、入札の手続であるとか予定価格の定め方、最低制限価格の考え方等々を定めているところでございます。
<補助事業施設の入札のあり方について>No.2
 先ほど質問で申し上げましたけれども、補助事業施設の入札のあり方でありますけれども、税金が投入される福祉施設の工事入札であのような報道をされたということは、私としては本当に残念であると思います。私は、福祉法人としての公的な責任があるという一つの誇りとか認識というものが欠落していたという結果ではないかと思っております。このたびの入札、見方を変えれば、補助事業でもありますので、より設計金額に近い金額で工事を発注して、補助事業以外の工事もあわせてお願いしようという考えがあったのではないかと疑うこともできるわけでありまして、過去にもこうした入札が行われていなかったのか、知事の方にお伺いしたいと思います。
●知事答弁
仮に補助金の対象となった事業以外のものをこの際ひっくるめてやってしまおうとしたとすれば、それは全く違法、不当、不正であります。そういうことがあってはなりません。したがって、この種の補助対象事業の発注などについても、できる限り透明性を確保する、透明性を求めていくということは、これから補助金を出す方の側として心がけておくべきことだろうと思います。
 過去に今回と似たようなことがあったのかなかったのかということにつきましては、わかる範囲で福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。
≪石田福祉保健部長答弁≫
過去の状況についてでございますけれども、私どもの方で過去5年間の補助事業について調査をいたしましたところ、このようなより計画に近い金額で工事を発注したというような事例は見当たりませんでした。ただ、知事の方からもございましたけれども、こういう多額の公的助成を受けて行う工事について、いやしくも不正を疑われるような行為があってはならないと思っております。そういう意味で、県といたしましても今後県内の法人について、県の基準に準拠して入札手続を行っていただくような指導をしていきたいと思っておりますし、今後実施される工事につきましては、今議員御指摘の点も念頭に置きまして指導をしてまいりたいというふうに考えております。