平成13年12月定例会一般質問(平成13年12月10日)No.3

幼児教育の責任は誰が

昔から、三つ子の魂百までと言われております。三つ子というのは、昔は数えで言っていましたから2歳のことだろうと思います。つまり、幼児期は個々の人間形成に大変大きな影響を与える大変大切な時期ですよということだと思います。しかるに、我が県の保育所並びに幼稚園で行われている幼児教育が、果たしてそのことわざどおり十分機能を果たせる環境にあるかと思うと、大変疑問があります。そういう意味で私は、問題点を指摘しながら何点か執行部の皆さんと議論をしたいと思います。
 まず初めに、幼稚園、保育所は確かに市町村の責任で設置管理されているのですが、だれが幼児教育という分野を責任を持って果たしていくのでしょうか。自治分権の時代だから設置者が責任を持つのが当然と片山知事は言われるでしょう。設置管理者である市町村に本当にそんな力量があるのでしょうか。特に3歳以上児を預かる幼稚園は教育委員会が管轄し、3年に一度計画訪問を実施し、幼児教育のあり方、保育のあり方が点検、助言されています。しかし、保育所によってはそんな専門職の機能はなく、県が補助金を交付している関係で監査指導という形の中で点検、助言されているのが現実であります。ましてや認可外保育施設にあっては、そうした点検、助言的なものはなく、市町村の責任範疇というものの、立ち入り権すら県にしかありません。
 そうしたばらばらな幼児教育の中で、子ども達は人生で一番大切と言われる幼児期を過ごし、小学校へと入学をしていくわけですが、幼児教育はどこが責任を持って行えばよいとお考えなのか、片山知事並びに有田教育長の御所見をお伺いします。

●知事答弁

幼児教育について、どこが責任を持つべきなのかということですが、これは先回りして私の考え方をいみじくも言っていただきましたので、そのとおりです。私は市町村が一番重要だと思います。それは、市町村が設置をしているからという意味ももちろんありますが、やはり子育てとか福祉などもそうですけれども、住民に一番身近な市町村というものが住民の皆さんに一番身近な行政を担うべき、これが一番いい行政ができるはずです。したがって、ぜひ市町村に力量をつけていただきたい。
 市町村に力量がありますかという問いかけがありましたが、現状では市町村によっては満足でないところもあると思います。それは確かです。しかし、これからはぜひ市町村に、幼児教育についてもちゃんと担えるだけの力量をつけていただきたい。人材を確保していただきたい。
 先ほど来、合併の問題が出ておりますけれども、合併の問題はこうした面からも考えるべきだと私は思うのです。
 そうはいいましても、一朝一夕になりませんから、もちろん県もこれからも重要な役割は果たしていきます。しかし、その方向は、市町村が力量をつけるように県がそれを助長する、支援をするという、そういう方向だろうと思います。市町村になりかわって県が直接ということは、時代に逆行することだと思います。
 なお、私立幼稚園については、実は県が所管をするということになっております。この点は、私学、私立の学校一般を県が所管をしているということとの関連でそうなっているのでありますが、私もこれは、よくよく考えてみれば私立の幼稚園であっても、財源をだれが負担するかはともかくとしまして、教育内容とか指導等については、本当は市町村がやられた方がいいだろうと思っております。この点につきましても、これから、とにかく市町村が子供たちのことを考える一番重要な機関であるという認識をお互い持って、お互いに力量をつけていきたいと思います。

●有田教育長答弁

幼児教育の責任者はだれかということです。これは先ほどの知事答弁のとおり、私もそのように考えます。本来県の役割、設置者としての市町村の役割、おのずと異なると思います。それぞれの役割あるいは責任をはっきりしながら、可能な形で私どもは新たな支援なりあるいは調整の役割についても検討しなければ、学校に入ってきてからということも大事ですし、そこを欠かそうとは思いませんけれども、みんなの力によって一人の人間の育ち、成長を見守っていく、支援をしていく、その観点を一層強くしたいと考えています。