平成13年12月定例会一般質問(平成13年12月10日)No.4

保育士の配置基準について

保育所における児童対保育士の配置基準ですが、昭和40年度以降若干の見直しがされましたが、現在ではゼロ歳児が乳児3人に対し保育士1名、1〜2歳児が6人に対し保育士が1名、3歳児が20人に対し保育士が1名、4歳児以上が30人に対し保育士が1名となっております。この配置基準は、児童福祉法が施行された昭和22年当時とほとんど変わっておりません。急激な社会の変化にもかかわらず、基本的にはそのままであります。
 子供たちの生活環境の変化に伴い、平成1110月から鳥取県でも小学校1年生については36人以上の学級について教師の複数制がとられるなど、十分でないにしろ学校教育においては数々の議論が行われ、改革が進められております。しかしながら、就学前の保育や教育の重要性はいつも叫ばれながら議論も少なく、子育ての現場に目が向けられていないのが実態ではないでしょうか。
 特に3歳未満児については発育段階に極めて大きな差があり、発達に応じた保育が必要であります。例えばゼロ歳児が乳児3人に対して保育士1名、1〜2歳児が乳児6人に対し保育士が1名となっておりますが、発達に応じた保育をするということになれば、子どもを視点に置いた見直しが必要でしょう。また、3歳児にしても個々の表現力等に差があり、2歳児の6対1から3歳児の20対1は余りにも現実的にギャップが大き過ぎると思います。4歳以上児の30対1にしても、昭和22年に法が施行されて以来、全く基準が見直されていないのが実態です。
 家庭での保育機能、教育機能を保育所で補完するとなれば、国の基準で一律の保育をするのではなく、鳥取県独自で基準を見直し、子供たちの発達段階、個々の表現力に応じた配置基準が今こそ必要ではないかと強く思うのです。福祉先進県を目指すと明言されている片山知事の御所見をお伺いいたします。
 また、幼稚園にあっては、1学級の幼児数が35人以下で、各学級に1人の教員を置かなければならないことが最低の基準になっております。果たしてこの基準で園児一人一人にかかわっていられる幼児教育ができるのか、有田教育長の御所見をお伺いします。

●知事答弁
 保育士の配置基準の問題ですが、国の基準がありまして、その基準が絶対正しいとは思わないという伊藤議員のお考えですが、私もそう思います。国がいろんな分野で基準をつくっています。例えば教員の場合も標準法定数というもので基準をつくっておりますけれども、それはしかし、学校の現場に行ってみると不登校とか学級崩壊とか心の病とか、いろんな今日的な問題を考えた場合には、どうも定数を満たしているだけでは足らないのではないかという認識から、鳥取県では2年間にわたって170数人の単独の教員を配置してきているわけです。
 保育士についても同じような問題があるのだろうと思います。県内の市町村でも河原町、三朝町、大栄町、東伯町については、国の基準を上回る配置基準でもって職員を配置しておられます。私はこれは非常にいいことだと思います。それぞれの地域が実情に応じて、必ずしも基準にとらわれない適切な配置をするということはいいことだろうと思います。他の市町村でも、それぞれの実情に応じてこういう先進的な取り組みをぜひ見習っていただきたいと思います。そういうことが、今の国の基準が必ずしも実態に合っていませんよということを証明することにもなるわけです。それぞれの地域で適切に処理をしていただきたい。
 県も、今は国基準を上回って職員を配置しているところに対して何ら財政支援をしていないのですけれども、場合によっては実情に応じて先進的な取り組みをしているところに県がもうちょっとてこ入れをしてもいいのではないかという意見もあると思いますので、それについてはよく実態を把握した上で、どうするかは検討してみたいと思います。
●有田教育長答弁

 幼稚園教諭の配置基準についてです。現在の配置基準によると、幼児35人に教諭1人が最低の基準ということ、これはお話しのとおりであります。しかし、それぞれの幼稚園の実態を見てみますと、今年度の場合、1つの公立幼稚園が30人でありますけれども、他はほとんどが現在のところ25人以下のように見受けています。
 ただ、それぞれ市町村ごとに設置者とされまして独自に、園児一人一人にきめ細かな指導をするために教員を増員されたり、あるいは障害のある園児の対応のために教員を増員しているそういう市町村も現実にございます。
 繰り返しですが、幼稚園設置基準というのは最低の基準を定めたものですから、設置者である市町村が地域や子ども達の実情、実態に沿って適切な措置を講じられることが必要ではないかと、そのように考えています。