<第9回全国和牛能力共進会について> |
鳥取全共については、開催会場地も決まり、5月には鳥取県実行委員会も設立され、いよいよ本格的な取り組みが始まりました。さきの代表質問でも、この鳥取全共について質問がなされ、県として何を期待され、どう取り組みを展開されていかれるのか、副知事の方から答弁がされたところであります。畜産試験場の改築問題を初め鳥取和牛の問題について、県職員、和牛農家、肥育農家の皆さんといろいろ意見交換をしてまいりましたが、岐阜全共の結果は、今日の畜産行政からすれば当然の結果であったと私自身は強く感じました。
以前から、和牛の世界は特有の世界と言われていましたが、確かに和牛農家の思いはばらばら、県職員にしても、現場と県庁とはばらばら、これではとても全共どころではないと痛感しました。
さらに、消費者の求める肉質の方向性、そして、因伯牛にこだわり過ぎた品種改良等、多くの空白の時間をつくってきたように思います。鳥取全共に取り組むに当たって、歴代の農林水産部の幹部の皆さん、畜産関係者の皆さんは、過去をきちんと総括して、新たなる出発として出直しをすべきであると思います。
品種改良に至っては、空白時間が長過ぎたため、現実的には鳥取全共に間に合わせることは技術的に大変つらい作業だと思います。つまり、鳥取県の牛がチャンピオンにならなくても、一定の評価がつかなくても、次につながる光を求めていくことしかないと思うところですが、知事の御所見をお願い申し上げます。
そして、私として気になる点がもう1点あります。それは、鳥取牛、鳥取和牛というブランドであります。鳥取県は鳥取牛、鳥取和牛というブランドの確立に向け努力をされてきたことになっているわけですが、現実には県内には美歎牛、東伯牛、東伯和牛、さらには大栄牛などと、それぞれの地域に独自のブランドがあり、それぞれ固有の団体が持つ販路で、みずからのブランドの確立のため懸命な努力をされております。このような地域ごとの独自のブランドと鳥取牛、鳥取和牛のブランドをどう整合性を図り、品種改良、肉質の向上化、販売戦略等をとられていくのか、御所見をお伺いいたします。
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●知事答弁 |
和牛の改良の問題ですが、これは全共との関連もあります。副知事の方から御答弁を申し上げたいと思います。
牛肉のブランドの問題ですが、これは農林水産部長の方から御答弁申し上げます。
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●副知事答弁 |
鳥取で行われます第9回の全共につきまして、その決意などをという問いに対してお答えを申し上げたいと思います。
第9回全共をこれから準備を進めていくわけですけれども、先ほど議員の方から御指摘がありましたとおり、これまでの取り組みに対する反省というものを、きちんと踏まえてやっていかなければならないということがあろうかと思います。
先ほどまでのお話ですと、畜産行政の過去のさまざまな問題というものがあったわけでして、そういうものに対して適切に答えを出していくことが、全共に対する取り組みと深くかかわってくると思います。
これまでの全共に対する取り組みでは、例えば前回の岐阜全共のときで言いますと、出品対策を立てるその中には、基本的には県の職員が入り、あるいは関係機関の方が入り、そこに生産者の顔が見えなかったというような問題があるわけです。
これが実態として和牛の改良を進める上で、行政機関はもとよりですけれども、実際に母牛を預かるような生産農家の方と、表裏一体となって和牛改良を進めていくという実態に合わなかった面があるのだろうと思います。そういう意味で、今回第9回全共に向かいましては、出品牛対策としては、半分は生産農家の方、あるいは改良組合の方々、そうした方々に入っていただいて、そこに行政とか関係団体も入り、それで基本的な戦略を練っていこうというようなプロジェクトを今考えているところであります。
また、鹿児島とか島根とか、前回の全共で優秀な成績をおさめた県に対する視察の結果を踏まえますと、地域における取り組みというのも大変大切なことがわかってきました。ですから、それぞれの地域での協議会もこしらえていただきまして、これと全体での戦略を練る、出品牛の対策を練る対策部会とともに、手を携えてやっていくような体制づくりが必要であろうかと思います。
いずれにしましても、先ほどのお話にありましたように、ともかく光を次につなげていくことが大切だということであります。ナンバーワンになるということを必ずしも目標とするのではなくて、むしろこの全共というのを一つの通過点として、そこをステップにして、これからの鳥取の和牛振興につなげていく、それこそが本来の目的であるということは私も同感です。ぜひそうした考え方で、これからの全共の準備に当たっていきたいと思います。
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●岡森農林水産部長答弁 |
牛肉のブランドについて、いろいろな対応や名称があるがというお尋ねでしたけれども、鳥取和牛、鳥取牛という名前をつけられましたのは、平成2年7月、あの当時は牛肉自由化で生産者の方々が非常に心配していた時期に、鳥取の牛肉を何とか市場に売り込もうということで、総称として鳥取県牛肉販売協議会が設立され、これは生産者と農協関係の皆さんがおつくりになったのですが、その中で、鳥取の和牛とホルスタインや交雑種を鳥取牛ということで、2つに区分けしてつけられた名前です。
そして、その後、鳥取県から出る和牛の総称を鳥取和牛として、大阪市場などにずっと送ってこられました。私も大阪事務所におりました関係で、これの総称の名称ではだんだんと定着して、市場では鳥取和牛といえば鳥取から出た和牛という一般の総称がついているわけです。
しかし、地域は地域でずっと前から、例えば東伯牛だとか東伯和牛あたりは、東伯町農協さんが福岡生協と以前から培われた産直の名前として、それがブランドとして残っておりますし、美歎牛、コープ牛などにつきましては、鳥取県の畜産農協さんが、実は京都生協で産直するために、そういう名称で培われたものでもございます。
こういうふうに、仮にナシを見ましても、鳥取県二十世紀ナシというふうに出てくるわけです。これは総称ですけれども、どうしてもその中に、地域名のある選果場名が箱に載っているというような面もあります。これらは相乗効果を持ちながら、全体をレベルアップしていけばいいのではなかろうかと思っております。
そして、このブランドのあり方については、ただいま鳥取県牛肉販売協議会の方で、市場での共励会をどのようにしていったらいいのか、これから小売あるいは料理店、消費者のPRをどうしたらいいのか、地産地消の取り組みをどう進めるのかというのを検討されています。そういうところでいろいろな御苦労をいただきながら、これから、先ほどお話がありました和牛再生プログラムというものが県下で定着し、全体のレベルを上げて、県下の改良を進め、肉質向上を図っていただき、そしてPRや消費拡大にも力を入れることによって、両方の鳥取のブランド名として定着し、それが評価されていくよう、これからも努力する必要があると考えているところです。
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<第9回全国和牛能力共進会について>bQ |
先ほど副知事の方からお答えがありましたが、特に和牛のように改良を必要とするものについては、やっぱり5年とか10年とか一つのスパンが必要です。つまり、過去があって今日があると言っても過言ではないと私は思っています。したがって、今日まで和牛改良とか肉質改良ができなかったことは、この間の畜産行政のありようは、本当に真摯に総括しなければならないと私は思っています。
さらに、10数年前に鳥取和牛のブランドを確立しようということであったわけですが、しかし、今日の状態にあるということは、つまり確立ができていない。結果的には、現場農家の皆さんを無視してきた結果、県の姿勢に頼らず、やっぱり自分たちで、みずからの努力でブランドをつくろう、県に頼ってもだめだと、この結果であると私は思っております。
そこで、やはり全共ということもあるのですけれども、県職員にしても和牛農家にしても、共通して認識できる課題、目標、そういうものを設定して、そして組織団体をリードでき、信頼できるリーダーを早くつくるべきだと思うわけですけれども、御所見をお伺いします。
やっぱり現場を熟知し、現場の理論を生かせる人、そういう和牛農家の相談員を配置していかないと、そして指導体制を充実していかないと、本当に鳥取県の和牛の将来はあり得ないと私は思っておりますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
畜産の問題ですが、いみじくも伊藤議員はおっしゃっておられましたけれども、県に頼っていてもしようがないというのは、私はそれは当たり前だと思うのです。畜産も農業全体もそうですけれども、ビジネスですから、企業ですから、やはりもうけようと思う人が主体的に一生懸命にならなければいけない。それをブランドも販売戦略もPRも全部行政でやってくださいというと、国営農場になって、過去歴史を見ると国営農場はだめなのです。ですから、やはりもうかる人、もうけようと思う人が主体的に頑張らなければいけない。それを我々は、技術的な支援とか試験研究とかPRのお手伝いとか、いろんな行政がやった方がより効果的なそういう後押しとか一生懸命やりますけれども、一番肝心なのはやはり企業でありますから、もうけようと思う人が主体的に頑張っていただかなければいけないということです。
そういう中で、行政の相談体制というのはやっぱり必要だろうと思います。充実する必要はあるだろうと思っています。その辺につきましては、そういう体制づくりにつきましては、農林水産部長の方から御答弁申し上げます。
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