平成17年11月定例会一般質問(平成17年12月9日)No.3
<建設業界のあり方について> |
今日あらゆる構造改革が進められておりますが、その中で、顕著なものは建設業界のありようです。鳥取県の公共事業も平成10年度の 1,528億 9,300万円をピークに、平成17年度には 751億 4,700万円と、49.1%に半減しております。ところが、公共事業が半減しているのにもかかわらず、平成10年度の建設業者数は 2,844社、従業員者数1万 5,462人ですが、平成16年度の建設業者数は 2,836社、従業員者数1万 8,771人と、建設業者は若干ではありますが減少しているものの、従業員者数は逆に 3,000人余り増加しております。このことは、仕事場が少ない地方の実態をある面では示していると思いますが、知事の感想をお聞かせください。 私は、我が国の建設業界は、過去の歴史から政治と行政によって恣意的につくられてきたと言っても過言ではないと思っております。逆に、恣意的につくられてきた部分で、過去には随分おいしいところがあったのも事実です。しかし、構造改革が推進される中で、ある大手の建設業者が倒産したときに、小泉総理は構造改革は進んでいるねと語ったと報じられたことがあります。きちんとした対策を打つことのない政治の責任を強く感じさせられました。鳥取県でも財政状況が厳しくなる中で、片山知事の就任と同時に、資格認定に関する事項から、入札前、入札時、入札後、工事執行上の改善など試行錯誤しながら、いろいろな改革が進められてまいりました。改革に当たってはかなりの抵抗もあり、大変であったと思いますが、現実的には業者数は減ることなく、供給過剰の状況が続いておりますが、今後この状況をどう対応されるのか、知事の御所見をお伺いしたいと思います。 ただ単に、競争による自然淘汰を待っていても、新規事業者は次々と参入される実態であり、今のままでは供給過剰に歯止めがかからない状況であると思いますが、この対策について知事の考えをお伺いします。 |
●知事答弁 |
建設業に関連して、仕事が半減しているけれども、建設業者は減っていない。これについての感想をということですが、仕事が減っていることは事実です。これは国も県も市町村もそうです。従来やってきたような景気対策に名をかりた公共事業予算の大盤振る舞いというのは、やはりこれは結果としては大変大きな禍根を残したと私は思います。どういう禍根を残したかというと、国も県も市町村も借金まみれになって、財政が破綻寸前になっている。破綻していると言ってもいい状態のところもあります。そういう危機的な状況をもたらしてしまった。それだけ借金の山をこしらえてまで大量の仕事をした割には、国民、住民の皆さんの満足度というのはさほど高まっていない。それから、何よりも、景気対策としてやってきたけれども、景気の回復にどれほど寄与したのかという問題もあるわけです。むしろ皮肉なことに、小泉内閣になって、いわゆる構造改革路線の中で公共事業を減らした、そして、その数年後に景気が自立反転で回復してきたという皮肉な結果になっているわけで、政策として、やはりよく検証する必要があるだろうと思いますし、かつてのようなことは、それは到底望むべくもないということです。 その中で、建設業者の数が、仕事の変化に応じて変化していないではないかということ。これは役所が決めることではありませんので、役所の方は、条件を満たしていれば建設業の許可をするということです。役所の方で、供給者側の調整をするという、業者の数を調整するということはやっていませんので、これはあくまでも市場に任せていくということです。したがって、市場メカニズムの中で、伊藤議員もおっしゃられましたけれども、原則としては、やはり市場の中で伸びていくもの、市場を通じて退出するものが出るということで、これは他の業界でも同じだろうと思います。 そうはいいましても、従来からこの分野というのは護送船団的に運営してきていますから、直ちに全部市場ですよというわけにいきませんので、それはしたがって、改革はいろいろやってはいますけれども、しかし、私なりの表現で言えば、比較的ピッチの速い改革ですけれども、一挙に、例えば全部自由競争にするとか、そういうことは無理ですので、透明度を高めて、競争原理を導入する、それを一挙にではなくて、順次ですけれども、少しピッチの速い改革を今やっているところです。 そういう中で、できれば、例えば他の業種への転換ですとか、それより前に、企業合同といいましょうか、企業間の、例えば、ある分野が得意な企業と、その分野が得意でないけれども別の分野が得意な企業とが企業合同して、合併のメリットを生かすというような形での合併促進ですとか、競争力、技術力を高めることによって伸びていくとか、そんなことを期待して促しているというのが現状です。 それに関連して、さっき言いましたように、基本的には市場にゆだねることになりますけれども、それだけではできませんので、さっき言いました、合併促進策とか業種転換策なども県はやっておりますけれども、それ以外に、発注量は減ったけれども、減った中で創意工夫をする。創意工夫をしてなるべく地場の企業の皆さんの仕事につながるようにと言う事で、例えば、発注における発注段階での工夫、これはやり過ぎるとまたいろいろ弊害も出てくるのですけれども、例えば、大きな工事でも分割発注をする。これも実は一長一短があるのですけれども、そういうことを心がけたり、従来地元に仕事が回ってこなかったような、受注機会がなかったような分野について門戸開放をしていく。それは、例えば国の事業ですけれども、高速道路の姫路鳥取線について、従来は地元に発注はありませんでしたけれども、当時の道路公団の方に頼みまして、地元に受注機会が得られるようにということで、門戸を一部開放してもらいましたけれども、そんなことをしているわけです。こういう工夫はこれからもぜひやっていきたいと思っております。 |
<建設業界のあり方について>No.2 |
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●知事答弁 |
建設業の関連で、合併優遇策が不十分なのではないかということでしたが、現行の合併促進のための優遇策と言っていいかわかりませんが、施策などにつきまして、現状などを県土整備部長の方から御答弁申し上げます。 建設業界の企業の技術力を向上させる必要があるのではないかと、これは全く同感です。実は、本当は今日まで技術力の向上というものがなされていなければいけなかったと思うのです。というのは、これまで大量の仕事を発注してきたわけです。大量の仕事をこなしてきたわけです。そういう仕事を大量にこなす過程で、実は、品質管理の徹底ですとかコストダウンですとか、新しい技術の取得ですとか、そういうことが本来なされていなければいけないのです。企業というのはそういうものです。伸びるときにどんどん技術開発をしていくということです。 そういうことが起こりやすいような環境も実は行政としてはとってきているのです。例えば、従来、地場の企業では扱えなかったトンネルですとか橋梁工事ですとか、そういうものはどうしても大手に頼らざるを得ないという実態が最初からありますけれども、その際に、少しでも徐々に県内企業でもそういう難工事、大型工事に参入できるようにという配慮のもとに、例えばジョイントベンチャー方式を採用するとか、これは一長一短ありますけれども、先ほど申しました分割発注をするとか、そういうことをして、馴染んで、そして、行く行くは自前で事業ができるようにという配慮もずっとしてきているわけです。けれども、何十年たっても一向に変わっていないのです。やはりそこは、業界の皆さん方は少し過去を振り返って、これからどうするかということはよくよく考えてみていただきたいと私は思っているのです。 それとともに、それぞれの企業でよりレベルの高い技術者を養成するということはぜひやっていただきたいですし、これから県もそういう方面に今までよりは少し注力していきたいと考えております。 |
●田所県土整備部長答弁 |
合併を格付において優遇するということを平成11年度から始めておりました。11年度から16年度にかけて52件、優遇措置の適用がありました。これによって合併推進については一定の成果があったと思っております。しかし、近年では、合併優遇によって格付を上げることだけを、ランクを上げることだけを目的として経営的に弱体な業者を吸収合併するという事例が多く見られたために、今年度、平成17年度からこの合併優遇を廃止しているところです。いろいろな業界の競争力、能力を高めていくことにつきましては、いわゆる建設業協会と各種団体と密に意見交換をしながら、どういったことの対策がとれるのか、そういうことを考えながら、今後も進めていきたいと思っております。 |
<建設業界のあり方について>No.3 |
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●知事答弁 |
発注について、経営事項審査について工夫の余地があるのではないかということですが、これは、詳細は県土整備部長の方から御答弁申し上げますけれども、格付とか、その種の分野というのは、本来、いずれなくなるべきものだろうと私は思うのです。行政の方が企業についてランキングをして、単なる評価ならいいのですけれども、それによって発注の実益、実害につながってくるというのは、本来やはりおかしいのだと私は思うのです。これは本来の自由市場経済の中では異例なことだと思うのです。今までの経緯から言って、一種の過渡期だと私は思っておりますけれども、そういう位置づけです。そういう前提ですけれども、では、これからどうやって評価をしていくのかというのは、単なる規模とか資金力とか、前例、実績というものも、それはある程度の評価のポイントにはなると思いますけれども、本当はちゃんとした工事ができるかどうか、レベルの高い技術を持っているかどうか、誠実に工事をやるかどうか、本当はこういうことが評価の対象にならなければいけないのだろうと思います。そういうところにウエートが移っていかなければいけないのだろうと思うのです。資金量も莫大にある、会社も非常に大きい、マンションの工事実績もどんどんある、だけれども偽装があったと、これは一番困るので、やはり高い技術力と誠実さ、そういうものが高く評価されなければいけない、そういう時代だろうと思います。では、そういうものをどうやってランキングといいますか、評価に反映させるのかということが当面のこれからの課題だろうと思います。 繰り越しが多くなっているのではないかということですが、実際多いのです。それで、以前は繰り越しをしてはいけないという一種の不文律みたいなものがあったものですから、無理をして無理をして、それで工期内に合わせようとするので、そこで無理から生じる不健康という、工事に少しさわりが出てきたりするようなこともあったこともありますし、実態はできていないのに、3月31日に完成したことにして、完成もしていないのに完工検査をしてしまったというようなことで、ここでいろいろ議論になったこともありました。そういう無理をしてはいけないというので、そんな無理をしないようにしましょうねということを私も言いました。ただ、それがまた間違ったメッセージで、もう無理しなくていいのだと、のんきにしていればいいのだというふうに受け取られたとしたら、これはまた間違いで、中庸を得てもらうというのは大きな組織はなかなか難しいのです。一方で、ものすごい無理をしながら繰り越しをしないという状況があったときに、無理はしないでいいのだよと言ったときに、ではというので、今度はこっちの方にぶれてしまってというようなことになってはいないと思いますけれども、多少そういう傾向があるとしたら、これは直さなければいけない。私の真意は、これはやはり予算というものは年度ごとに仕事をやるものですから、年度区分でやるものですから、当然のことながらできる限り年度内に事業を終わらせるということ、これは当然ですけれども、努力してもどうしても年度内に完成しないという案件があった場合に、やむを得ない場合は、それはその場合でも無理をしろというわけではないので、その場合は合理的な手法によって明許繰り越しをするとか、必要な手続をして繰り越しをしたらいい、こういうことで、また改めてその趣旨を徹底したいと思います。 |
●田所県土整備部長答弁 |
経営事項審査に関連して補足します。 まず、経営事項審査を説明する前に、県の建設業者の格付を行う際に、いわゆる経営事項審査の結果、これを客観点数といいます。それにさらに県独自の採点として主観点数というものがあります。これはまた後で述べますが、まず、経営事項審査が経営力、いろいろなものを評価しますが、御質問にありましたように、例えば、何らかの投資をして、多額の借り入れをしたら、経常経費が増加して、短期的に見れば利益率が下がって、点数が下がるということですが、いわゆる競争力を高めるための投資ですから、長期的には経営が改善される、点数が上がっていくということで、これは一概に不利な面ばかりではないとは思っております。いずれにしても、それがいわゆる全国統一した基準で、毎年行っております経営事項審査です。それに対して、先ほど言いました主観点数、これは工事成績や優良建設工事の表彰であるとか、研修受講、またISO、そういった資金力とは関係ない、比較的技術力に関連することに着目しております。 それで、昨年度までは、経営事項審査を、いわゆる客観点数を前者、主観点数を後者としますと、昨年度までは前者、客観点数対後者、主観点数は5対1でした。今年度からの格付では、それを3対1と。ですから、主観点数の割合を、ウエートを高めてきているところです。このあたりもいろいろな現場の声を聞きながら対応を進めてきているところです。 技術力向上についてもう1つ補足いたしますと、入札・契約方式で、いわゆる価格だけの競争ではなく、品質をいかに確保するか。これは要は施工業者の技術力を問われるものですが、そういったものも評価できるような新たな発注方式を、これは全国でも議論されていることですが、今年度から施行していきたいと思っております。 |