平成18年2月定例会一般質問(平成18年3月14日)No.2

非正規職員の待遇について

 
 非正規職員の問題については、今議会においても鍵谷議員の代表質問で議論をされていますが、非正規職員の増加は、知事の答弁のとおり、社会のありようをより不安定にしていると言っても過言でないと思います。
 今、鳥取県には、非正規職員として平成17年4月現在で非常勤職員、いわゆる非常勤が 511人、臨時的任用職員、いわゆる臨職と言いますけれども、 159人在籍されているわけですが、平成11年では非常勤職員の皆さんが 316人、臨時的任用職員が 235人でした。このように非常勤職員が倍増する一方で、臨時的任用職員は67%と減少しておりますが、この変動について要因をお聞かせください。
 県庁は昔から不夜城とも言われ、過重な労働環境にあることは県民にも知られていますが、この業務量をどのように把握され、非正規職員の配置についてはどのような基準のもとに行われているのかお伺いします。
 民間企業の中には、正規社員と非正規社員が似たような業務に携わっている場合が見受けられ、経営コストを単に引き下げたいがために、職種の区分に根拠がなく、雇用方法の違いだけで正規社員と非正規社員とに区分されているところもあります。したがって、労働者としての権利が保障されていないがために、セクシュアルハラスメントなどの不条理な問題も発生しています。
 本来、労働対価とは、その業務内容の労働に合わせて賃金として支払われるべきであり、同一価値労働イコール同一賃金がその基本で、賃金の区分をつけるならば、能力を職務評価基準に基づきなされるべきで、正規であれ、非正規であれ、社員の生活を保障することが雇用者としての責任であると思います。
 これまでの県の非正規職員の推移を見ていると、民間と同様に、人件費コストを単に下げたいがために、正規職員から非正規職員化が進められているのではないかと心配するところですが、知事の御所見をお伺いします。
 鍵谷議員の代表質問に答えて、片山知事は、非正規職員の待遇について見直しをしたいと答弁されていますから、余り多くは申し上げませんが、非正規職員の皆さんには労働組合もなく、労働条件について声を上げることができませんので、皆さんにかわり1つだけ例を出しながら質問します。
 非常勤職員と臨時的任用職員の皆さんの通勤手当は、公共交通機関利用者で1万 5,000円、自家用車通勤者で 8,000円と上限が設定されています。非常勤職員は、職務の専門性や経験性から、遠くに人材を求めることもあります。また、臨時的任用職員についても、公募試験が実施され、成績上位者から採用されています。雇用情勢が改善されていない県内においては、仕事を探すのが大変で、特に中山間地域では仕事がありません。県の施設や事務所は市部に集中をしています。例えば、旧赤碕町には畜産試験場しかありません。事務系の臨時的任用職員の採用などがないために、倉吉市の中部総合事務所の臨時的任用職員に応募するしかありません。このことは、三朝町や旧関金町でも同様ですが、公共交通機関であるバスも少なく、県の施設から遠くに住む非常勤や臨時的任用職員の皆さんは、自腹を切って通勤するしかないのです。公募で、成績優秀者から採用し、優秀な人に来てもらうのであれば、通勤手当も適切に対応すべきでないかと思うのです。
 ことに、昨年4月からは、非常勤であれ、臨時職員であれ、正規職員と同様に同額の駐車利用料を徴収しておられるのではないでしょうか。仕事以外のことで取るものは正職員と同じで、払うものは正職員とは違うということは、知事がいつもおっしゃっているように、社会的常識からしておかしいのではないでしょうか。
 確かに、2年前に非正規職員の皆さんの通勤手当は改善されていますが、実費弁償である通勤手当くらい4月から正規職員、非正規職員の格差をなくされたらいかがかと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
●知事答弁
 
 県の職員のうち、非常勤職員の数がふえて臨時職員の数が減っているのではないかということですが、これについては、その背景、事情などを総務部長の方から御答弁申し上げます。 
 そのことに関連して、県庁は昔から不夜城のごとく残業が多いではないかということで、かねがね指摘を受けていまして、これは、指摘を受けるまでもなく、我々自身も自分の問題として今改善に努めております。幹部会といいますか、部局長会議などでも実は時折各部の残業の状況というものの現状をスクリーンに映して、それぞれ分析をして、減らすための工夫をするというようなことも実は今やっていまして、徐々に効果は上がりつつあると思っております。
 それとの関連で、非正規職員の配置についてどういう基準でやっているのかということについても、総務部長の方から御答弁申し上げます。
 県で今やっています行政改革の一環として、正規職員を減らして非正規職員をふやしている傾向があるのではないかということなのですが、現象面からいうとそういうこともやはりあるのです。これはなぜかというのは、私は、現行のいわゆる正規職員と言われる職員の給与体系に硬直性があるから、それだけではないのですけれども、給与体系の硬直性がやはり1つの大きな原因だと思っております。というのは、県職員というのは正規職員で入るとどこの部署に行っても同じ給与単価。それで配置転換をするということになるのですが、実は県庁で行っておりますいろいろな仕事というのは、仕事の難易度ですとか、スキルの必要性の有無ですとか、そういうのは違うわけで、それはどの部局でも同じ年に入って同じような昇進をしてきた者は同じ給料で仕事をするというのは、やはり何かそぐわない面があるのだろうと思います。同じ県職員でも、このポストはもうちょっと単価が安くてもいい、そのかわり経験も要らないというようなポストがあるのです。ところが、今の一般職員というのは、一律に採用して同じ人事の中で動いていくということをしますと、どうしてもうまくいかない面が出てくる。そこを現実的に対応しているのが、実は非常勤職というような職種になってくるわけで、そうすると多少処遇は悪くても仕事の難易度は、例えばそんなに難しくなくてもいいですというような、そういうポストもあるものですから、公務員給与の体系の硬直性を実は非常勤という配置で現実的に対応している、こういう面が実はあるのだと思うのです。以前も申し上げましたが、そもそも非常勤職というのは特別職で、調査とか相談とか、実はそういう限られた分野で採用するというのが建前なのですけれども、実はそういう面もあるのです。相談の仕事などもあるのですけれども、そうではなくて、本来ならば一般職で、正規職員で対応するようなところに非常勤職が配置されているという面もあるのです。それは今申し上げたような事情なのです。
 ですから、今後の課題としては、現在の公務員給与、これは国もそうですし地方もそうなのですが、給与体系の硬直性というものをもっと見直して柔軟にしなければいけないという、これが大きな課題だろうと思います。人事院勧告なんかも1本で出てくるわけです。非常に多様な職種があるのに、1本の人事院勧告で、民間と比べて高いの安いのと出てくるのですけれども、これは非現実的なのです。いろいろな職種があって、このポスト、県庁のここのポストだったら民間に比べたらすごく高いですとか安いですとか、そういうのが本当はきめ細かくすれば出てくるはずなのです。これからの公務員給与の体系というのは、やはりもっときめ細かさが必要だと思っております。これは今日明日に解決できる問題ではありませんけれども、基本的な方向はそういうことを念頭に置きながらこれから改善を加えていかなければいけないと思っております。
 ということで、現状の問題は総務部長の方からその辺、御指摘になられた事情、背景などについて答弁申し上げたいと思います。
 この非正規職員の通勤手当などの処遇の問題についての御指摘がありましたが、これは先般の「信」の鍵谷議員の代表質問のときにもお答えしたけれども、やはり今の現状でいいと思っておりませんので、問題、課題はあると思っておりますので、これは点検を加えたいと思っております。
 具体的な点検のポイントなどについては、総務部長の方から御答弁申し上げます。

●瀧山総務部長答弁

 まず、非常勤がかなりふえて臨時職員が減った、その原因は何かということです。臨時職、非常勤の実際の配置というのは、予算査定の中で行っているわけです。各部からの要求を受けて、総務部サイドの方で査定しているわけですけれども、それは1件ずつ、配置が必要なのかどうか、そのあたりを考慮して査定しているわけで、どうしようという気持ち、どうしていくというようなものではなくて、たまたまの積み上げでそうなったということです。
 ただ、その要因として考えられるものとしては、非常勤職員がふえた理由ですけれども、まず非常勤職員が、任期は1年ですけれども、複数年継続して任用しております。現実に任用しておりますし、任用することができる、更新ができることになっておりますので、仕事の慣れが生まれる、業務能率が高くなるということで、配置している各担当課の担当部局の方の希望が多いということがあると思います。
 社会情勢の変化により、いわゆる相談業務のニーズが高まってきているということで、相談員の数がふえてきていることも背景の1つ、原因の1つです。
 また、臨時職員が減になった理由としては、いわゆる臨時職員は事務補助的な業務に携わっているわけですけれども、庁内の電子化等によって業務の見直しを行った。見直しを行って、業務量自体がなくなった、あるいは委託に出したというようなことで対象となる業務が少なくなっていったことがあるのではないかと考えております。
 非常勤、臨職のそれぞれの配置基準といいますか、配置の考え方というのはどういうものかということですが、先ほど申したことと重複するかもしれませんけれども、まず非常勤職員については、一定の専門性ですとか、複数年の雇用をすることができますので、熟練を要する継続的な業務を常勤として、非常勤ですけれども常勤として、この点、法律の建前とは異なる便宜的な配置を行っているわけですが、常勤として各配置している、そしてまた相談員等については常勤としてまでは配置する必要がないけれども、一定期間、正職員の8割ぐらい、あるいは7割ぐらい、あるいはそれ以下の業務を行うと、そういう確保の必要性のない部門に従事しているということです。臨時職員につきましては、事務や事業実施の補助業務としてとらえているところです。そういう観点から配置しているところです。
 人件費節減のために非正規職員化しているのではないかということで、現在の課題等ですけれども、知事の答弁のように、一定のものについては単に単価を下げるためではなくて、確かに臨職、非常勤等に振りかえを行っているわけですけれども、過去の問題点というか、定例的な色合いの強い業務についても正職員をすべて配置していたというような問題もありましたし、専門で継続的な業務、これは本来正職員でやった方がいいのではないかと思われるようなものについても非常勤で対応していたと、そのような例もありました。これらについては一部は改めてきているところです。今後とも業務に応じて正規職員で対応するのか、定例的な部門、先ほど申しました配置基準に合ったような形で非正規職員で対応すべきか、それは点検して配置してまいりたいと思っております。
 給与水準等の点、非常勤、あるいは臨時職員の配置をどうするのかという点については、給与水準の点だとか、正規職員の定数管理の方法を含めて、あり方というものを検討していきたいと思っております。
 非正規職員の通勤手当のお話がありました。非常勤職員、あるいは臨時職員の通勤手当等ですけれども、まず非常勤職員、臨時職員については、議員の御指摘とちょっと違いますけれども、やはり通勤範囲が短い、そういう近い職場を優先的に配置するのがまず第一なのかなと思っておるところです。ただ、非常勤職員の処遇について、平成18年度には点検が必要だと考えております。今の問題点としては、非常勤職員をすべて特別職として扱っていて、しかも場合によっては一般事務業務を行わせている、この例が結構あるわけなのですが、そういう問題がありますし、また臨時職員については、本来臨時ですので、緊急ですとか臨時の業務に対応させるのが筋なのですけれども、通常の業務、恒常的に臨時職員を充てているというような例もあります。また、処遇についても、先ほど議員の言われた通勤手当の取り扱いというようなこと、あるいはその他の勤務状況ということもありますので、どういう勤務形態、あるいは採用形態がいいのか、処遇等必要な点検を来年度、18年度に行っていきたいと思っております。あわせてその中で、通勤手当の問題も切り離してではなく、全体の中でどうするのがいいのかというあたりを検討していきたいと思っております。

非正規職員の待遇について>No.2

 
 非常勤職員の皆さん方の処遇ですけれども、先ほどありましたけれども、業務を見直す中で、やはり仕事の中身をしっかり点検していただいて、そして、ただ使い勝手がよいというふうな形でなく、駐車料金でもきちんと取るようになったのですから、取るものは取る、払うものは払うということで、特に相談員の皆さんとか、ほとんど常用に近い非常勤の方がおられるわけです。そういう方は、本当にやはりもう少し雇用者責任を持ってしっかり待遇というものを考えてほしいと思うのです。仕事の中身は職員とほとんど同じ、出すものは出さないということで、やはり最低限の生活保障の部分はしっかり考えていただきたいということだけ要望しておきます。