平成21年11月定例会一般質問(平成21年12月3日)No.2
<県の住宅施策について> |
ところが、時代の流れとともに県内各地で民間の宅地造成が進む中、平成15年3月、鳥取県住宅供給公社あり方検討委員会から、公社の設立目的はほぼ達成され、存在意義は完了したと結論づけられ、一定の整理期間を設けた上、可及的速やかに廃止すべきと提言されました。同年12月には、鳥取県住宅供給公社あり方検討委員会から提言を受けた県は、公社は事業をスリム化し、経営責任を明確にした上で、必要最小限の体制で保有資産、つまり宅地の早期処分に重点的に取り組むべきとの考え方がまとめられています。さらに、平成16年2月定例会の代表質問に際して、当時の片山知事は、新たな開発をして新しい債務を背負い込むことはやめているので、販売計画に従って着実に販売し、縮小撤退路線で行くと答弁され、現在に至っています。 公社の人員が削減される一方で、販売の強化も進められているようですが、これまでの公社の経営努力をどう評価しておられるのか、知事にお伺いします。 また、鳥取県住宅供給公社のあり方検討委員会から見直しの提言をされた当時は、財政面は一応健全な状態にあるとの評価がされているわけですが、今現在、それから今後の見直しについてどう見ておられるのか、お伺いします。 |
●知事答弁 |
詳細はくらしの安心局長から御答弁したいと思いますが、随分議会での議論も重ねていただき、対策も打ってきたので、様子は変わりつつあると思っています。ただ、その中でも平成20年度1億2,800万円の損失を計上している状況にあり、まだまだ厳しいと思っております。 今年度に入り、民間の貸付金を整理して、県のほうからの直接貸し付けに振りかえることにし、0.5%という金利で融資をすることにした関係で、その利払いも6,500万円検討から1,500万円検討ぐらいまでかなり削減されることになると思います。また、公社独自でいろいろな取り組みをしていただいており、職員の方の御協力もいただきながら人件費を削減をしていくとか、それから議員からも御指摘がありましたが、新しい施設建設には向かわないで、むしろ今のものを売り切ることに精力を注ごうではないかということです。 あと、県の当局といろいろ折衝した結果として、住宅の管理委託を公社のほうにしてもらうことにしており、これもいわばその分の事務費が出るようになるかと考えています。そのようにしていろいろと手だてを尽くしています。販売促進のほうも、今、例えば給料の中で成果主義を導入して、販売実績が反映されるようにしたり、そういう手当もさせていただいているところだと伺っています。 そういう意味で一定の評価はできると思いますが、まだまだ赤字体質は完全に抜け切れていないと。特に今年に入り、成約件数が7件という状況で、目標が20件でしたので、これは経済状況を反映しているわけですが、非常に厳しい状況だと言わざるを得ないと思います。したがって、例えば定期借地権の導入とかいろいろな工夫をさらにやっていただく必要があるだろうと考えているところです。 |
●くらしの安心局長答弁 |
公社の経営努力の評価についてですが、住宅供給公社は平成16年に中期的経営計画を策定しました。その中で、業務体制の合理化だとか、早期完売に向けた取り組みを行っているところです。 業務体制の合理化については、いわゆる人員の削減を行っています。専任の常勤役員2名を1名に減にしましたし、平成15年当時17人いた職員を平成17年は7人まで削減するというような組織体制の合理化を行っています。さらに、人件費としては、職員の給与引き下げ、基本給の8%と期末手当を約2分の1にするというようなことで、総支給額の16%を削減するという経営努力も行っていますし、事務費についても徹底的な削減、こういった努力を行っているところです。 また、分譲推進については、なかなか大きい区画で売りにくいという点もあり、売りやすいように、売れやすいように分譲価格を小規模化するとか、公社としての助成制度、建築に当たっての助成制度を設けるとか、琴浦町きらりタウン等においては、定期借地権つきの土地分譲をこれから検討しようとか、先ほど知事からもありましたが、職員の皆さんへのいろいろな報奨制度を設けてモチベーションを上げるとか、それから購入者を紹介された方には報奨金を出すとか、いろいろな取り組みをしているところです。しかし、昨今の経済情勢の影響もあり、分譲がなかなか計画どおりには進んでいません。平成20年度においては、先ほどあったように、1億2,800万円という経常損失を計上しています。公社としては、この経営努力、一層の努力が必要だと考えています。 次に、現在の公社の財政状況です。公社の経営は、先ほど言いましたように、分譲がなかなか計画どおりに進んでおりません。近い将来はやはり経営に行き詰まるということも予測されます。そういったことから、先ほど利息支払いの負担軽減を図るということで市中銀行から借りかえを、県が長期貸し付けをするというようなことで、低利貸し付けをするというような利息の負担軽減を行っているところです。 今後さらなる合理化と分譲推進を図って、公営住宅の管理代行等もしながら経営改善を進めると聞いているところです。具体的には、さらに人件費を中心とした経費削減なり、それから宅地分譲については極端な損失を招かない程度で販売方法を工夫し取り組んでいくとか、それから定期借地権による分譲の仕組みを少し検討してみるとか、当面経済情勢が変わるまでは新規団地の開発は行わない、あるいは今現在県の県営住宅の管理代行を行っている等、さらに市町村の代行もできないかとか、そういったこともこれから十分検討していくと聞いています。 現時点では債務超過の状況ではありませんし、今後計画どおりに売却できれば安定的な経営も可能という見通しにはなっていますが、現在の販売状況からすると明るい見通しとは言いがたく、むしろ厳しい状況にあると言わざるを得ない状況にあります。公社にはこうした厳しい状況を十分認識していただいて、一層の経営改善に努めていただきたいと考えています。 |
<県の住宅施策について>No.2 |
そうした中で、新たな取り組みをしている島根県住宅供給公社と境港市に出かけ、その解決策と言うか、一端を伺ってきました。それは、島根県の住宅供給公社と境港市は、そのありようは少し違うものの、定期借地権を活用している点で一致していました。これまで一戸建てのマイホームといえば、土地と建物を購入するのが一般的な方法でしたが、土地を賃貸で利用することにより、最初の土地代の負担は少なくてマイホームの夢が実現できるということで、ユーザーにとっては大変負担が少なくて済むという制度です。 島根県の場合は、建て売りを原則としていることから、建物についてはユーザーからの注文を受けて、建て売り住宅として公社からその所有権をユーザーの皆さんは取得しますが、土地については保証金と月々の地代を公社に支払うことにより、51年間の借地権を取得するというもので、3年前から取り組まれています。境港市の場合は、土地開発公社が造成した宅地については、土地開発公社が定期借地権者になれないため、市が公社から予定の宅地を買い上げ、ユーザーと境港市の間で定期借地権を結ぶというもので、ことしから始められています。 ユーザーは、宅地に抵当権が設定できないため、建物についての融資に一定の制限がかかるということがありますが、土地の購入資金を考える必要もなく、また毎月の返済も低く抑えられるというので、収入が少ない若い世代により少ない予算でマイホームを実現できるということです。また、例えば家計的に余裕ができれば、借地権期間中でも買い取ることができ、この制度は、島根県住宅供給公社と境港においても非常に好評であるということを伺いました。 我が県の場合は、住宅供給公社については縮小撤退路線の方向が示されていますので、公社自体が定期借地権になることが一つの大きな問題になると思いますが、県や市町村が定期借地権者になって、分譲宅地の流動化を進める方法も私は一つの選択肢であると思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
おっしゃるとおりだと思います。どうしても土地つきで所有権を転売するということになると、お金がその分かかります。例えて言えば、山陰本線で列車に乗ろうとしたときに鳥取ライナーを使うか、特急まつかぜを使うかということで、確かに特急まつかぜでも鳥取ライナーでも同じ目的地には着くわけです。要は会議にさえ間に合えばいいということで、鳥取ライナーの安いほうで行くことも可能なわけで、そういう選択肢も必要だと思います。
定期借地権の場合、先ほど島根の場合は51年という指摘がありました。そういうふうに長期にわたります。50年以上というのが一つの決め事になっています。恐らくこの議場におられる方はあと50年生きておられるかどうかということでしょうから、例えば我々なら所有権つきの住宅を買う必要はないと、定期借地権つきで十分であるいうことになるわけで、まつかぜに乗らずとも鳥取ライナーで行けばいいという選択も可能になるわけです。現実に島根、それから境港では、13件、7件と、この定期借地権で売れてきていますので、これをまた公社にもよく伝えて推奨していきたいと思います。 |
<県の住宅施策について>No.3 |
もう1点、住宅供給公社で大きな問題は、平成15年12月のあり方検討委員会の報告では、今後の検討課題として崎津団地のことが記述されています。その内容の一部を紹介すると、「崎津団地については、県の別途の行政上の失敗を公社に押しつけたものであり、当該団地は住宅としての市場性は極めて乏しいと考える。これについては県サイドのやり方も非難されるべきものであるが、独立法人である公社としても経営上の引き受け責任があるものと考える。これに関係した理事の責任も問題となる。住宅として市場性に欠ける以上、公社が抱え込んでいることは適当でないため、県で引き取り、別途の方策で処理することが適当と考える」と厳しい指摘がされています。このことについて、その後、県としてはどのような検討がなされ、最終的にはどのような対応をされるのか、知事にお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
確かに、今景気の状況を考えると、特に冷え込んでいるのは住宅市況です。これは去年の半分ぐらいまで落ちているわけです。片方で今公共投資はこれまでの景気対策もあり、4割ぐらい去年よりも増えているわけで、対照的に個人の住宅投資が減ってきている、激減してきているという状況です。ですから、議員がおっしゃるように、定期借地権つき住宅という新しい市場テーマを与えるのに公社も一役買えるのであれば、これも一つの効用ではないかと思いますので、先ほども申し上げましたが、公社のほうに議場で御指摘があった定期借地権つき住宅の活用について話をさせていただきたいと思います。 次に、住宅供給公社に関連して、崎津団地についてですが、かつて検討会の中で市場性に欠ける状況だという厳しい指摘があり、県の当時の責任も問われたというお話がありました。県としてどういう検討をなし、最終的にどういう方向に持っていこうとしているのかということですが、詳細はくらしの安心局長から申し上げたいと思いますが、この点は我々も一度売却にトライをしたわけですが、特に和牛博覧会の後、ボランティアの皆さんに手伝っていただいたりして大分整地が一時的に整ったので、あの状態で売却を考えたわけですが、残念ながら不調に終わったということがあります。 そこで、今年に入り、長期債務を県の長期貸し付けに振りかえることで貸し付けをかつて受けてきたことの負担軽減を図るのも、この崎津団地に絡んだ配慮もありました。今また改めて質問がありましたので、市場調査をしてみて、それでどういう対応がとれるのか考えていただくことも必要かなと思いますので、公社のほうにはそうした検討を促したいと考えています。ただ、現在の住宅市況は非常に厳しい状況にありますので、今々動ける状態にあるかどうか、ともかくまずはちょっと調査をしてみて状況を見るというのが現状かなと考えています。 |
●くらしの安心局長答弁 |
現在、本当に非常に経済状況が厳しい中に、これだけまとまった土地を売却することは非常に困難であると認識しています。ただ、県としては公社に、崎津団地に係る土地取得費だとか造成費等については無利子の長期貸し付けを行い、当面公社が用地を保有することにより負担が生じないように措置しているところです。 今後、経済状況が回復して、そういった好転するということが見込まれるような状況になった段階で、改めて売却については検討したいと思いますし、これも繰り返しになりますが、周辺の市況調査等も行ってみたいと考えているところです。 |
<県の住宅施策について>No.4 |
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●知事答弁 |
ただ、現況は住宅地ですので、住宅地としてまずそれが活用されるのが本来だと思っています。したがって、崎津団地については無利子の貸し付けをしてきているわけで、公社のほうではそれを抱えているからといって直ちに経営上影響するということはシャットアウトさせていただいた状態で今置いてあるということです。住宅市況の状況もにらみながら、今後検討していきたいと考えています。 |