平成23年6月定例会一般質問(平成23年6月17日)No.3

<定年帰農政策について>
  県では速いスピードで進む荒廃農地、離農防止対策として、新規就農者確保の政策を雇用対策と絡めて進められています。リーマンショック等で経済が厳しくなった一昨年度から新規参入者が増加していますが、農の雇用政策助成金を活用した農業法人への就職等が大半で、個人として農業経営に参入された方は年間20人程度までであり、従来から余りふえてはおりません。
 新規参入者の皆さんのお話を聞いても、現実の農業はそばで見ているより厳しいものがあると語っておられます。中には、鳥取のナシを、スイカを食べたらおいしかったので農業をしたい、それだけの思いで挑戦されている方もあるようです。しかし、農業収入が1年に一度であったり数カ月先であったり、日々の生活には厳しいものがあり、多くの皆さんは夢破れ、強い意志を持って参入された方以外はドロップアウトされているのが悲しい現実です。
 私はこうした厳しい農業の現状の中で、他産業からの新規参入者を促進すること以外に、既に田畑があり、若干の農機具もある農家出身者で企業等を退職された皆さんに、退職後は帰農していただく定年帰農政策をもっと前面に出し、支援策を推進すべきだと思いますが、知事の認識をお伺いします。
●知事答弁

 
 定年帰農は、いろんなメリットはあると思います。一つは、定年までお働きになった方ですので、それなりのストックがあると。したがって、農業を始めるときの資本があるということ。また、通常御夫婦で定年後の生活をされるということで、一人ではなくて御家族で農業を始められるという形態が多いので、人手の問題がある。また、いろいろと社会生活を営んできたということもあり、特に県内出身の方であれば土地だとかそうしたものがあったり、また地域での生活の実績もありますので、地域の中で溶け込んで営農をするということがやりやすいということです。
 実は、県でも定年帰農に取り組んでいまして、例えば最近農業大学校での短期研修を充実してきました。1カ月コース、3カ月コース、そして半年コースといったような、そういう研修をやってきているわけで、こういう短期研修は特に定年後の方が多いです。現状を申し上げれば4割近い方が50歳以上で、第二の人生として農業を始めるときに農業大学校に入ってこられるという方が意外に多いわけです。我々としてもこういう定年帰農をぜひ進めていきたいと考えており、JAなどと一緒に進めていきたいと思います。

<定年帰農政策について>bQ

 
 やはり退職者の皆さんにできればもっともっと帰農していただく、即農業に入っていただけるような体制を前面にもっともっと出して取り組んでほしいと私は思っています。韓国なども今まさにベビーブーム時代で退職者がたくさん発生しているということで、退職後の人生は農業に参入される方が非常にふえていると。その背景には、やはり行政側の支援がたくさん用意されているということですので、やはりリスクの多い新規参入ばかりに目を向けるのではなく、定年帰農者の対策の充実を図っていただきたいということで、これも要望にしておきます。