平成24年6月定例会一般質問(平成24年6月25日)No.2

<鳥取県米について>


 2月7日、日本穀物検定協会から、2011年産米の食味ランキングが発表されました。参考品種として出品されていた三朝町産のきぬむすめが特Aランク、基準米より特に良好なものという最高の評価を受けました。この食味ランキングは日本穀物検定協会が毎年実施しているもので、対象は各県の奨励品種、しかも一定の作付面積、1,500ha以上です──が必要で、各県の数地区の代表品種が食味検定を受けるものです。検定は20人の専門パネルが炊いた御飯の外観、香り、味、粘り、かたさ、総合評価の6項目について、基準米と対象産地品種を比較、評価する相対法により行われるそうです。鳥取県内からは、東・中・西部地区から出品されたコシヒカリはすべてAランクで良好なものに、ひとめぼれがAダッシュでおおむね同等のものと認定されました。三朝町産のきぬむすめは県内の作付面積が530haで、1,500haという基準の作付面積に達していないため参考品種としての評価となりましたが、とてもおいしい米という評価を受けたことは紛れのない事実で、大いに喜ぶべき結果であり、自信と誇りを持ってよいと思います。この食味ランキングの結果について、平井知事の感想と認識についてお伺いします。

●知事答弁

 
 このたびはきぬむすめが、参考という位置づけながら特Aをとったわけです。私も就任して5年になりますが、何とか特Aをとりたいということで実は各方面と一緒にやってきたわけですが、ようやくここに来て一つ芽が出たということでした。これを目指しているのは日野郡のほうとか、また三朝も実はそうでしたし、各地でおいしいお米が今でき始めている。これを何とか結実させなければならないということだと思います。
 きぬむすめについては、県内でまだ作付けが十分広がっていないことから、完全な意味の特Aではなく参考扱いになりますが、特Aをとりました。ただ、特Aを中四国地方でとったのは平成15年の島根県以来で、ほとんどないのです。東北だとか北陸、それから九州も最近は出てきていますが、常連地域と違い、中四国はそういう意味で、米についてはブレンド米として使われるという傾向が強かったわけです。そうではなく高付加価値のものにしようということで、このたび弾みがついたと思います。
 三朝町では特徴ある米づくりもやっていて、賀茂の姫米だとか、また、三朝町のお米を振興しようという研究会もできていますし、それから泉の里さんだとか、また、そのほかにも個人の小谷さんを初めとした篤農家の方々もいらっしゃいます。その中で、例えば竹の炭を利用した肥料を活用して食味を上げるとか、いろいろな工夫もされてきています。こういうきぬむすめに限らず、コシヒカリだとか従来品種もあります。ぜひこの機会に、鳥取県としてお米のブランドを確立していける弾みになればと考えています。

<鳥取県米について>bQ

 
 鳥取県の米は消費者の皆さんにとって、とてもお手ごろ感があるリーズナブルなお米として好評だと言われてきました。本当においしい米だけど、東北地方のようなブランド力は全くなく、お手ごろ感があるお米のイメージが定着してきたと私は思っています。
 ところが、日野郡のお米を氷温米とかいう形で販売している県内の米卸業者の皆さんが、大阪のあるショッピングストアに出かけ、地道な試食販売を続けられた結果、大阪の消費者の皆さんにそのおいしさが認められ、今では売れ筋のナンバーワンは日野郡の米が占め、それなりの価格で取引されるようになりました。
 このように、一部の県内の米関係者の地道な販売努力に支えられてきている部分が多くありますが、全般的には販売戦略は十分でなかったと言えると私は思っています。知事として、今後の販売戦略についてどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

●知事答弁
  
 大分生産現場に近いJAさんのやり方もここに来て変わってきたと思いますし、鳥取県として「食のみやこ」をアピールして一緒にやってきたことが動き始めているかなと思います。
 例えば最近の動きでも、JAの特に西部のほうはほとんど直販的になってきて、全農を通してというよりも売り先を考えていくと。その中の一つの柱に先ほどのような奥日野米がありますし、今、米生郷ですか、そういうことで南部町とか米子市だとか、そうしたところの米の売り込みも画策をしていると。関西のほうに売りに出るということも始められました。そのようないろいろな努力もあり、最近も関西系のスーパーで鳥取県の通常のお米を取引をするという動きが始まってきましたし、先ほどの奥日野の皆さんの氷温熟成米についてはヒット商品になり、大丸ピーコックで関西で売られるだけでなくて、今月からだと思いますが、東京の銀座三越とか多摩三越とか、それから二子玉川の東急さんとか、そうした東京でも名立たるブランドショップで取引されるということが決まりました。こうやって着々と今販路をふやしつつあると思います。
 今まではブレンド米で、単にほかの米のまぜ合わせで使われていた、ほかの引き立て役でしかなかった鳥取県米が、むしろ輝きを増しているのだと思います。これは今、西日本のお米に対する需要見直しが全国的に起こっているような動きもありますが、あわせて販売戦略がようやく当たり始めたということではないかと思います。いいところはぜひ生かして、今後も展開をしていければと思います。

<鳥取県米について>bR
  
 三朝町さんのきぬむすめが、先ほど申し上げたように食味ランキングで特Aにランクづけられたわけですが、作付面積が530haと非常に少ない。要するに、コシヒカリやひとめぼれと比較すれば10分の1以下ということです。これから販売戦略を構築する面からもやっぱりロットが不足しているという状況であると私は思っています。県として、今後の栽培品種構成について見直しをされていくのか、きぬむすめの栽培面積をどう拡大されていくのか、知事にお伺いしたいと思います。
●知事答弁
  
 きぬむすめの栽培面積の拡大についてですが、ぜひ農業関係者とよく話をしていきたいと思います。現状を申し上げると、どうしても和製のコシヒカリとかひとめぼれが多くて、コシヒカリが大体5割見当ぐらい、また3割見当ぐらいがひとめぼれというのが県内の状況です。やはり値段のことが若干あり、今実際に市場で引き取る値段が、コシヒカリときぬむすめで800円ほど違います。ただ、これは物は考えようで、きぬむすめは高温適性品種で、今の地球温暖化に伴って全国的に作付が変わってきています。そういう意味で、高温でも作付でいいお米がとれると。特に1等米の比率は、きぬむすめは高いわけです。コシヒカリは、それに比べると1等米の比率が低いです。ひとめぼれもそうです。ですから、一番1等米の比率が高くなるのはきぬ娘なのですが、そう考えていただくと、1等米とコシヒカリの2等米であれば、きぬむすめの1等米のほうが高く引き取ってもらえるわけです。ですから、そこはどういうような一つのポートフォリオというか、作付けを全体として考えるかです。わせ品種のコシヒカリだけだと、いっときに農作業は集中します。それにきぬむすめを組み合わせることで全体として労力をばらすことができる。それだけ負担が減ると。逆に言えば、作付面積を拡張し得るということにもなってきます。ですから、そうやって考えると、いろいろな戦略が本来あるのだろうと思います。現状を申し上げると、JA鳥取中央さんの管内がきぬむすめに比較的熱心で、530haのほとんどは、多くは中部のほうの米です。よく現場とも話をさせていただいてやっていきたいと思います。
 特に値段の問題があると思うのですが、ここに来て、大阪の中堅スーパーのイズミヤさんがきぬむすめの取引を始めるということになりました。実は非常に評判がいいです。23年産米からやっているのですが、24年産ができる前に全部売り切れてしまうかもしれません。それぐらい取引もしっかりとあるわけで、鳥取県に向いていて特Aがとれるお米であるということになれば、一つの推奨品種としても考えてもらってもいいのではないかと思います。その辺はJAさんだとか関係者ともよく協力しながら面積拡大1,500haを目指して、この際本物の特Aをとっていくという体制を整えていきたいと思います。