平成25年3月定例会一般質問(平成25年3月14日)No.2

<PCBの処理状況について>


 今ではすっかり忘れていたPCB。教育委員会の新年度予算にPCB廃棄物処理費として2,116万円が計上されています。PCBは、絶縁性、不燃性などの特徴により、かつてトランス、コンデンサーといった電気機器を初め幅広い用途に使用されてきました。しかし、昭和43年のカネミ油症事件をきっかけにその毒性が社会問題化したことから、昭和47年から製造が中止され、PCBが含まれたトランスやコンデンサーは、それぞれの事業者や学校現場で保管されてきました。
 私は、既に廃棄処分が行われているものと思っていただけに、まだ県内に、しかも教育現場にあったのかと驚きました。
 調べてみると、PCBを廃棄物処理できる施設は全国に5カ所しかないため、各県ごとに受け入れる施設と時期が決められており、鳥取県は北九州市にある処理施設で平成26年度に処理する計画となっていると聞きました。
 県の教育施設並びに県内の民間事業所を含めて、どの程度保管されており、今後の処理計画はどのようになっているのか、知事並びに教育長にお伺いいたします。
 また、平成18年ごろ旧青谷町において、民間事業所の倉庫に保管されていたトランスが土砂崩れにより勝部川に流出し、PCBが河川に流れ出た事故がありました。
 特に県立高校6校においては、高濃度のPCBが保管されていると聞いていますが、その安全対策は十分にとられているのか教育長にお伺いいたします。
 

●知事答弁

  
 高濃度のPCB廃棄物については平成28年の期限があります。こういうところに向けて、大体進捗可能な状況だろうと見ています。
 また、昨年末に延長された軽微な濃度のPCBの廃棄物については、38年度末、39年3月31日まで延長されたばかりですが、これは全国的になかなか処理が間に合わない、進んでいないということです。全国でも処分場が10カ所もないわけで、そういうことからなかなか処理が進まないということでしたが、これも可及的速やかに対処できるようにコーディネートしていきたいと考えています。
 特に、県内でも軽微な濃度のPCBの処分をする能力を持っておられるという業者さんもおられて、そういうところでの受け入れの検討も始まっています。そのようなことも含めて、期間内の処理を目指していきたいと思います。

●中山生活環境部長答弁
  
 PCBの処理については、平成13年に特別措置法が制定されて、当初平成28年の7月までに処理を行うことが義務づけられていたところです。その後、法施行の10年を契機に、当時の処理状況等を鑑みて、昨年の12月に処分期間が平成39年の3月末までに延長されています。
 本県のPCB廃棄物の保管状況ですが、若干細かな数字になりますが御紹介しますと、まず高濃度のPCB廃棄物です。高圧のトランス、コンデンサ等が187台、安定器が1万1,261台、小型機が9,770台、油汚泥等が67.9トン、また低濃度のPCBの汚染電気機器等が662台という形になっています。
 現在私ども県としては、毎年全ての保管事業者の方に立入検査等をして、早期の処理等働きかけをしています。この高濃度のトランス、コンデンサについては、全国的にはまだ4割程度の処理状況ですが、当県においては8割程度の処理が既に済んでいますので、全国に比べて処理は進んでいる状況ではないかと思っています。
 こういったPCBの残留性、毒性等々を鑑みると、早期の処理等が望まれるところです。この高圧のトランス等の廃棄物については、国の期限等を目指して徐々に処理を進めていきたいと思いますし、全国的に処理がなかなか進んでいない低濃度のPCBの汚染物質については、昨年の7月に国等に処理体制、現在国が認定している施設が9施設ですが、そこの拡大だとか、あるいは処理責任者が不在となっているようなものについての国の財政支援とかそういったような制度的な要望を行っているところです。低濃度、高濃度、いずれにしても期限内までの処理を目指して処理業者の方に指導するとともに、ともに推進していきたいと考えています。

●横濱教育長答弁

 
 
県の教育施設においては、PCBの廃棄物は高濃度PCBの処分を優先して取り組んでいまして、その大部分は平成22年度から23年度にかけて処分をしました。しかし、この処分の際に出た汚染物とか、あるいはその後廃棄されたものがあり、一部残っている状況です。これらの処分を含めた費用を来年度の予算でお願いしているところです。
現在、県立学校においては12校でPCB廃棄物を保管しています。その内訳は、高濃度PCB廃棄物が米子工業高校など6校で計14個、微量PCB混入機器が10校で計42個となっています。このほか学校以外の教育施設にいては、教育センター、博物館、生涯学習センター、米子屋内プールの4施設で微量PCB混入機器を合わせて8個保管しています。これらのPCB廃棄物のうち、高濃度PCBは平成26年度に処分場に搬入することにしており、4月以降各学校に保管しているものを1カ所に集めたいと思っています。また、微量PCBについては、今月中に処分に向けて準備を終えて、平成25年度に可能なものは全て処分したいと考えています。
県立高校6校に保管されている高濃度PCBの安全対策についてですが、このPCB廃棄物の保管については廃棄物処理法により保管の基準が定めてあります。それに沿って、各学校では関係者立入禁止をした場所で適正に保管をしています。そしてまた、責任者を定めて管理しています。また、微量なものについても同様の対応をとっています。
 保管基準に基づいた保管が行われているかどうかについては、各総合事務所生活環境局の現地調査をお願いして、その現地確認を受けて保管状況に問題がないか定期的に確認をしています。引き続き安全な保管に努めたいと考えています。

<PCBの処理状況について>bQ
  
 教育長のほうに市町村の小・中学校においてPCBの保管実態があるのかということをお聞きしたいのと、その処理計画についてお聞きしたいと思います。
 私が心配するのは、今県下の市町村でかなり学校統合が進んでいるのです。それから社会教育施設の統廃合も進んでいるわけで、高濃度であれ微量であれ、これからもPCBがかなり出てくるのではないかと思っています。そのためにも、やはり市町村の教育委員会についても断続的に緊張感を持って対応ができる体制が必要だと思いますが、教育長の所見をお伺いしたいと思います。
 それと、先ほど県立高校の高濃度のPCBを1カ所に保管されるということでしたけれども、どこにどのような管理方法で保管されるのかお伺いしたいと思います。

●横濱教育長答弁
  
 小学校や中学校の市町村でのPCBの保管状況と処理計画等については、法により、保管している事業者は保管及び処分の状況について知事に届け出を行うと定めてあります。そこで生活環境部に市町村の状況を確認したところ、八頭町と北栄町の各1校、合わせて2校で高濃度PCB廃棄物が保管されているということです。北栄町では今年度中に、八頭町では平成26年度に処分が行われるということです。
 また、議員のほうから、市町村で学校の統廃合、あるいは社会教育施設の統廃合があるだろうが、その際にPCBが出てくる可能性があるという指摘をいただきました。これは非常に大事な指摘だと思っていまして、今後、市町村で学校の耐震工事、また統廃合等で改修工事もあると思うので、そうしたときに新たなPCBが確認された際には速やかに対応するように、市町村教育委員会にも注意を促していきたいと思います。
 高濃度PCB廃棄物の処理については、議員からもお話がありましたが、全国に5カ所ある政府出資の日本環境安全事業株式会社の施設で行うようになっています。各県ごとに受け入れ施設と時期が決められており、平成26年度の処分に向けて1カ所に集約し、北九州市の処分場に搬入できる状態にしていきたいと思っています。
 この保管場所については、現在学校内に専用のPCB保管庫を設けている米子工業高校を予定しており、廃棄物処理法に定める保管基準に基づいて適正に処理したいと考えています。