9月14日 ※礼文林道〜宇遠内で高波と戯れる※ | ||
遅めの起床。雨はやんでいたが、風が残っている。外に出てみるとまだ波が高い。天気予報はオホーツク海で温帯低気圧に変わるようなことを言っていた。朝食後、空を見上げると、凄い勢いで流れる雲間から青空が見える。今日は降らないような気がする。決めた。昨日話題に上がっていた宇遠内へ行こう。波次第では砂走りを見れるかもしれない。 とりあえず様子見の人達を尻目にひとり宿を出る。この風だと西海岸は凄い波らしい。望むところだ。香深港でお茶を買い込んで礼文林道へと進む。台風が過ぎたばかりで人気がまったくない。林道を登り、元地港を望む尾根沿いに出ると凄い強風が吹きぬけていく。眼前には青空が広がっていた。 礼文林道を進む。礼文滝への分岐から先は歩いたことがない。空を映すたくさんの水溜りを避けながら緩やかな丘をゆっくりと下っていく。熊笹のに覆われた林道は次第に背の高い木々に包まれはじめる。礼文の中央部は植林が進んでいて、背丈のそろった林が広がっている。木々を見ていると、さほど太くはないが所々に見られる看板が示す月日は昭和30〜40年代。間引かれた独特の空間は更なる成長を願う島民の思いが詰まっているのだろう。 緩やかに下りが続く道。昨日降り続けた雨が路肩の側溝をあふれ、行く先を小川のように流れていく。谷間を抜ける風のざわめきと谷間を流れる川のせせらぎ。上空は流れる雲よりも青空が目立つ。台風の通過したばかりの空は目の覚めるような青さだ。歩いているうちに今朝まであった天候への不安は吹き飛んでいた。 |
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宇遠内への分岐路。今のスコトンからの8時間コースの終着点だ。分岐路から迂遠内へ向けて狭い山道を登っていく。先を行く道には1台のオフロードバイクの車輪の跡が残っていた。宇遠内への物資を積んで走っているのか、後輪がやけに沈んでいる。宇遠内へはひたすら登りが続く。 木々が空を覆い、変化に乏しく単調なだけにキツイ。宇遠内までは約1キロごとに看板があったので、それを頼りに一人黙々と歩いた。残り1キロを切ったところでやっと下り勾配がやってきた。今まで上ってきた分の高度を一気に下る急勾配だ。谷間からは宇遠内の青い海が見えた。 谷沿いを下っていくと宇遠内の集落が見えてきた。集落には跡を残していたオフロードバイクが止まっていた。ナンバーがない。往復専用といったところか。海辺まで降り、宿で聞いていた店を探すとそれらしい建物が目に付いた。覗きこむと老夫婦が一組。12時を回っていたので何かあればと思っていたがそんな感じではないようだ。中に入ると、人が来なくて退屈していたのかいろんな話をしてくれた。 店を出て防波堤に向かう。東海岸の波も高いと思ったが、ここの波はその倍近くある。4〜5mはあろうかという防波堤を軽々と乗り越えてくる。飛沫のせいか空もくすんで見える。防波堤に登って高波を撮ろうとしてみるが、迫り来る波が心配でロクなのが撮れなかった。宇遠内から北に少し行ったところに砂の急坂に行けるものなら行ってみようと考えていたが、防波堤から見る限りではとても海岸線を歩いていけそうではない。集落に不釣合いなエコトイレで用を足して宇遠内をあとにした。 |
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急坂を黙々と登る。来た道なので目標がはっきりしてるけどキツイ。こんな傾斜をオフロードとは言えよく走れるものだ。振り返るとさっきまでの荒々しさが嘘のような青い海と空が広がっていた。休憩がてらに写真を撮りながら登り、森林に囲まれた長い下りに入っていく。緩やかなところが多くペースも上がる。木洩れ日がなんとも心地よい。さっきの店で「若い人なら40分くらいで行けるよ」と言われたときには「ホントか?」と思ったが、おおよそそのくらいで分岐点に着いた。一応「まだ若い!」と言い張れそうだ。 平坦な林道を香深井方面に歩いていくと程なく舗装路になり、東海岸に出る。時刻表を確認すると少し待てばバスが来そうな時間だ。待とうかと思ったが、途中にあるセイコマのことを思い出し、香深まで歩くことにした。道路沿いにあった商店で遅い昼食を買って見内神社の防波堤に腰掛ける。天候は回復していたが、まだ波が高い。「明日の便は大丈夫だろうか?」 セイコマで珈琲ハイを買い、テクテクと香深に向かう。飲みながらしばらく歩くとすぐに港に着いた。港内の波はそれほど高くはなかったが、ターミナルに人影はない。表通りの土産屋さんも暇そうだ。「明日は出ますかね?」そう聞くと「1便は厳しいんじゃないかなぁ」・・・あまり聞きたくない返事が返ってきた。 土産を手になぎさに戻る。荷を下ろして宿の前の防波堤に腰掛ける。さっきよりも波が高くなっているような気がする。明日の1便がダメだと明日中に帰り着けるかどうかわからない。1便がダメだったら午前中は少し歩いてから夜行で帰ろうなんて人もいた。融通の利く人達がうらやましい。明日の天気予報はおおよそ晴れ。夕食中に聞かれる予定のほとんどは「フェリー次第」だった。 |
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