観光ツアーでは行かないと思えるロンドンの魅力などをご紹介します。順不同

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ロンドン点描 1 ハムステッド・ヒース

Hampstead Heath駅(左上)、ハムステッド・ヒース駅北口の街並(右上)、集合住宅だが、薔薇をはじめ、各々個性的なイングリッシュ・ガーデンで飾られていた(中段)。南西部のハムステッド池(下)
 ロンドン北西部に位置する自然公園のハムステッド・ヒース(Hampstead Heath)を訪れた理由は二つあった。一つは、未体験の公園を散策したい願い、そして、北側端にケンウッド・ハウスがあり、ここにあるフェルメールの絵画に会うこと。

 ヒースは、テスなどイギリス文学に出てくる荒地・荒野といった印象を抱いていた。ハムステッド地区は高級住宅街であるとはいえ、広大な公園内は丘陵地であり、人はまばら、観光客は希少なはずである。

 路線バスでカムデン・タウンに降りた。
 方向を見誤ったおかげで、地上鉄道(Overground)駅のロゴが目に留まり、初めて乗車し、Hampstead Heath駅で下車し、(当初計画では、バスで北側に移動し、ケンウッド・ハウスに最初に赴き、南の方に散策するつもりだったが・・・、)南端に位置する駅から北端まで、“荒野”をさまようことにした。

 小さな駅舎を北側に出ると集合住宅街があり、静かな環境で、高級感がある。各門戸は個性的で、イングリッシュ・ガーデンが整備されていた。初夏にロンドンを訪ねるのは初めてであり、薔薇は咲き始めで、どれもステキに美しい。

 集合住宅といえば、今時の日本では高さのあるマンションだが、木々の緑・庭の花々など住環境環境が全く異なることを体感した。急ぐわけでなく、方向磁石と地図はバッグに入れていたが、敢えて見ないで歩いた。西南側にある池の周囲には散歩する人たちが散見された。その他は、野鳥・リスなどに出会う程度で、静寂・・・。
 散策路があったが、意図的に、外れて歩き続けた。

 丘陵地とはいえ、高低差は小さい。目的とする北方向は概して登りだが、小さなダウン・アップが繰り返された。陽光が失せるほどの森林帯もあり、そこでは方向が分かり難くなる。そもそも朝の陽光が樺太中部域に在るロンドンゆえ、当てにならない感覚もあった。

Hampstead Heathの平均的な景観(上)、見晴らしの良い場所に大樹があり、この周囲に椅子が配置されていた。故人を偲ぶメモリアル・ベンチで休憩。足元に犬が来たが、女性が連れていたと分かった
 散策路の整備密度は小さく、ある意味では歩きにくい。が、迷う感覚が嬉しく、ともかく東端に南北に連なる池にたどり着くことをめざした。目的とするケンウッド・ハウスに直線的に到達する必要がなく、環境に居ること自体を楽しみつつ、さまよい歩いた。

 やや小高い見晴らしの良い場所に大樹があり、この周囲にベンチが配置されていた。故人の情報が掘られたメモリアルベンチであり、休憩がてら座り、環境に浸った。
 緑の木々、青空に浮かぶ雲、人工的な音が皆無の静寂な環境の中に身を置き、気持などをメモし、写真を撮り・・・。足元に犬が来た。周りを見ると、飼い主と分かる女性が電話中だった。その目は、飼い犬と小生に向けられていた。
 彼女に、ケンウッド・ハウスの方向とおおよその時間を聞くことが出来た。本音は、会話してみたかった。彼女と犬を見送った後、自身も歩き始めた。ロンドンの公園は、どこでも犬連れの人が目立つ。

 やがて、「やらやっと」との感覚を抱いたが、東ゾーンの池にたどり着いた。ここから目的地は遠くなく、北方向に歩めば良い。周囲には散策路が整備され、ベンチが点在している。近寄っても羽を休めたま動かない鴨、小生の足元で餌をついばんでいる雁たち、対岸には座している老夫婦と思しき姿も・・・。ゆっくり過ぎる時間感覚。
 連なる池の周りを、道草を食うがごとくに歩き、森林ゾーンを抜けたら、期待通り、白亜のケンウッド・ハウス(Kenwood House)が視界に飛び込んで来た。

 館内に入るのは後にして庭園へ。
 大きなシャクナゲをはじめとした、初夏の多様な花々に囲まれた。陽射しが強く、木陰のベンチに座して、メモしていると、老夫婦が話しかけてこられ、たどたどしい国際親善・・・?!
 ケンウッド・ハウスは、ナショナル・ギャラリーなどと同様、入館料は寄付金制度で、公的管理下にあり、館内には、盗難事件でも有名なフェルメールの『ギターを弾く女』などがある。展示されている部屋の中央に置かれた椅子に座りこんで、見つめ、メモをし・・・。月曜日のお昼過ぎでもあり、監視員と小生のみが室内に居る時間が長かった。

東端の池地帯を北へ(上)。森を抜けると目的地に着く。白亜のケンウッド・ハウスが見えた(中)。庭園も素晴らしく、写真(下)はシャクナゲの大樹
 ところで、ナショナル・ギャラリーにもフェルメール作品が2点あるが、各々小さめの展示室内で、監視員は常駐せず、小生のみが息をしているといった、日本ではあり得ない至福のひと時に恵まれるのもロンドン・西欧の良さと言えよう。

 一人で訪れてもステキ : I love London!

 鳥取県東部医師会報に「ロンドン紀行」を4回執筆する機会を得た還暦記念・初めて夫婦で訪れたロンドン旅行は、妻の関心事を優先したことで、自身に消化不良が潜在していた。

 1年余が経過した昨年末、初の単独渡英の願いが高じた。実行に際して、自身に負荷をした。
◎ 病院当直を軽減しないこと:ゴールデン・ウィーク後の春薔薇の季節、出国は2011年5月第2週の土曜日、帰国を9日目の日曜朝に設定した。5月は当直7枠を担った。
◎ 自身で企画・手配し、(学生旅行気分で、) 最低価格をめざすこと
航空:関空からロンドンへの直行便はなく、利便性の良いフィンランド航空を狙い、年末に正規格安運賃(往復で\67,900)が出た時点で、無料会員登録をし、覚悟を決めて購入。ネットでの座席指定も!〔→ 下界の見える後方席で、往路は反A席、復路はA席!〕
& 前日の Online Check-in も実践。(復路はロンドンのインターネット・カフェに入り、FINNAIRのHPで)〔→ チェックイン・カウンターに並ばず、Baggage Drop にてスーツケースを託すのみで、迅速・快適でした!〕
空港・ロンドン市内の移動:皆が使うノンストップのヒースロー・エクスプレスではなく、(こだわりの学生気分・青春18切符感覚で)各駅停車のヒースロー・コネクトを利用した。同社に会員登録をし、(若干安くなる)ネットで事前購入の往復乗車券をゲットした。これも研修の一環。実際、車内ガラガラのヒースロー・コネクトにはスーツケースを持ち込む客は希少で、空港・パディントン駅間はほぼ間違いなく、ヒースロー・エクスプレスを利用している実情にあることを“研修”した。ちなみに、エクスプレスは15分毎の運行で、所要17分、コネクトは30分毎の運行で、所要25分。時間的にはゆとりがあるわけで、各駅停車を楽しんだわけです。
市内移動:美術館、公園・庭園巡りでの市内移動のために、ロンドン市内中心部に相当するゾーン1・2で7日間有効のトラベル・カード(\3,620送料別)を事前購入
ホテル:各業者の企画を検索し、目星を付けたホテルHPの価格も比較した。利便性・価格を重視した結果、ヒースロー空港とロンドン中心部を結ぶエクスプレス発着駅であるパディントン(Paddington)駅至近に立地し、集合住宅を改造した30室程の☆☆ホテルを朝食付7連泊(計\45,600)をSkygate社で購入:利便性は☆☆☆☆☆の自己評価!
公演チケット:ロイヤル・フェスティバル・ホールなどに会員登録し、チケットを購入した。ロンドンでの公演は同ホールでのクラシック3つ、ミュージカル5つとロイヤル・アルバート・ホールでの一夜限りの〔ABBA-phonic〕なるロイヤル・フィル・ハーモニック提供の演奏会で、自身でも驚く計9公演!

 各々初体験となる登録・購入や、滞在期間の行動に係る事前学習(シミュレーション)を整えると、あとは天候次第となる。
 新たに〔ロンドン点描〕シリーズのお届けです。
(2011/07/30up)
以上は、鳥取県東部医師会報の[随筆]欄(第395号 p. 50-53 2011年9月号)の内容です。
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