観光ツアーでは行かないと思えるロンドンの魅力などをご紹介します。順不同

ハムステッド・ヒース リトル・ヴェニス リージェンツ運河 アヴェニュー・ガーデン ケンジントン公園 ルート・マスターとDLR
ロンドン点描 3 リージェンツ運河

ナショナル・ギャラリーの東隣にある教会をトラファルガー広場(南西側)から撮影(左)
/二階建バスの2階先頭席からの景色(中)/乗車したルート24バスと分かりやすいバス停の表示(右)
 ロンドンに着いた翌日、2011年5月8日(日)は雨天の予報だった。実際、起きたら、路面には水溜りが・・・。公園散策は止め、美術館巡りとした。
 ターナー絵画で著名なテート・ブリテンと発電所跡を活かした近代美術のテート・モダンを各々初体験した。何と!幸運なことに、テート・モダンでは、自身が愛好するジョアン・ミロ♪の特別展を開催中であり、入り込んだ。

 その後、ナショナル・ギャラリーと、隣接する初体験ポートレート・ギャラリーも計画した。
 が、ナショナル・ギャラリーは、日曜日午後であり、玄関界隈が混んでいたので中止し、後日とした。交通の要所にあり、いつでも、繰り返し、気軽に訪れることが出来るのが利点です。

カムデン・ロック(上)、桟橋に着くボート(中)、リージェンツ運河をゆっくりと進む観光ボート。側道で憩う人たち(下)、リージェンツ・パーク(最下段)クリケットをする人たちの遠方、木立の奥に運河
 一方、雨天の予報が見事に外れ、大きな雨雲は東に移動し、午前中から澄んだ青空が広がってきた。雨を降らすような(海洋性気候に特徴的な)雲も流れていたが、幸い降雨には合わず仕舞い。
 ポートレート・ギャラリーを出たら、見事な快晴だった。目前・真上に教会の白い尖塔が青空に映えて美しい(冒頭写真左;付記)。

 至近のバス停にハムステッド・ヒース行きのバスが停まっていた。路線バスのルートは、停留所に示されているが、確かめる時間はなく、“衝動的に”乗った。16時5分だったが、「ま、何とかなる・・・」の思いで、足休めを兼ねて、恒例の2階最前列席で車窓観光していた。
 やがて、人で賑わう界隈となり、バス停がカムデン・タウンと分かり、次の停留所で降りた。ここは日曜市が有名であり、大混雑! スリに気をつけつつ、雰囲気を楽しみ、孫娘への土産を購入した。

 マーケット・ゾーンを抜けて、カムデン・ロックに出た。写真でもうかがえるが、上流側の水位が高く、高低差2m程の水門に水がこぼれ落ちている。ボートが来ると、下流側の水門を閉じて、上流側を徐々に上げ、水位が上流と一致した時点で、上流の水門を開けて、ボートが進む。逆に、下流側にも移動できる。

 カムデン・ロックの西側至近地に弧状の歩道橋がある。この界隈の運河沿いには、歌う若者たちなど、多くの人がくつろいでいた。賑わいの中、リトル・ヴェニスから来た観光ボートが船着き場へ静かに移動していた。
 このゾーンを運河沿いに西へ抜けると、グループ、家族連れで散策する人たちがまばらになり、緑に囲まれた静寂な世界になった。

 初探訪の地ではあったが、地図は事前学習済だったので、呑気に運河側道を歩いた。実にゆっくり航行する観光ボートを撮り、競歩的に進み、またまたアングルを決めて撮影。気づいた乗客が手を振り応える・・・。

 おおよその辺りで、ボートを見送り、運河に架かる歩道橋を南に渡った。リージェンツ・パークの北西端に出た。土地勘に感謝!
 広大な公園では3グループがクリケットを楽しみ、また、サッカーやバレーボールに興じる若者たち、憩う子ども連れの家族があり、或いは、中心地にあるカフェ・界隈でゆっくりする人たちなど、好天になった日曜日の心地良さを、自身も体感した。見晴らしの良いカフェであったが、19:30開演のロイヤル・フェスティバル・ホールでの演奏会があり、パスした。

リトル・ヴェニス10時始発の観光ボート(上左)、同乗した幼児(上右)は、途中のロンドン動物園桟橋で母親と下船した。リージェンツ運河にはボートが係留されている。正面は道路下のトンネル(中)。運河側道を散策中、近づくボートを撮る人たち(下)
 ロンドンの至便地にあるリージェンツ運河の楽しみは二つある。一つは、運河側道を散策すること、そして、観光ボートで運河を巡ること。

 ロンドン7日間の後半は、晴れ間もあるが雨が降る週間予報で、帰国前日の13日(金) は前線通過による全日風雨の予報だった。11日(水) は、雨に見舞われなければOKといった曇り空だったので、旅程後半の雨を懸念し、リトル・ヴェニスへ。念願していた10時始発のカムデン・ロック行き観光ボートに乗船した。

 ボートは(陽光が強いと写真が撮り難い)窓付であったが、日射が弱かったため、撮影し易かったことは幸いだった。平日の始発とあってか、母子のほか計5名の乗客で、小生は最前列に座り、カメラを構えた。

 リージェンツ運河は、一部の自動車道や鉄道路線と交差する場所ではトンネルとなるが、大半は高級住宅街に沿う並木やリージェンツ・パーク沿いでは緑に囲まれた静かな一帯を通過します。(カムデン・ロックに近づく辺りは例外で、商業地区になります。)
 例えば、東京銀座の日本橋・京橋界隈は河川が地中化されて道路になっていますし、水上バスが行き交う隅田川には、高架の首都高速道も目にします。ところが、ロンドンでは、高架の自動車道は、例えば、パディントン界隈では、鉄道線路をまたぐための高架道がある程度です。高速自動車道は市内中心部には皆無です。都市景観を重視してのことでしょう。
 一方、リージェンツ運河は、道路や鉄道と交差する場所は、道路がフラットゆえ、天井高の低いトンネル構造になり、そう、ディズニーランドで楽しむがごとくになります。行程中の大半は両岸に木々が多く、一戸建ての館といえる住宅を目にする環境です。
 公園が多く、住環境の緑が豊かで、時間がゆったりと動くかの感覚を抱かせるロンドン。心穏やかに、ゆったりと・・・: I love London!

:自身の視聴覚室に、爺であることを含め〔Grand-Pa Hall “MIRO”〕の自作プレートを作り、天井高3.5mの空間上部に主にミロのポスター等やドイツ製のミロの絵画カレンダーも掲げているほどです。

付記:学生時代、クラシック音楽を傾倒するようになってから指揮者ネヴィル・マリナー(Sir Neville Marriner 1924 - )が育て、世界的に認められるようになった室内オーケストラ Academy of St Martin in the Fields のLPを愛聴していた。この本拠地が冒頭写真の尖塔が美しいセント・マーティン・イン・ザ・フィールズ教会(St Martin-in-the-Fields)であり、この点での馴染みもある。
 今回は機会がなかったが、1997年全自病協西欧医療施設視察団の一員として訪れた際は、土曜日夕刻にロンドンに着いた翌日が全日自由であり、バス観光の皆とは別に、単独行動として、本教会での日曜ミサ体験もした。残念ながら室内オケは出演しなかったが・・・。
 なお、今や世界的大御所的で、N響にも客演している指揮者ネヴィル・マリナーと本オーケストラは、作品賞、監督賞・主演男優賞などアカデミー賞8部門に輝いたモーツァルトの伝記的映画[AMADEUS]で、楽曲を演奏していることでも著名です。
 モーツァルトの交響曲の中で短調の曲は、わが国では“哀しみのシンフォニー”とも愛称される40番と25番の2曲のみであり、[AMADEUS]の冒頭には、シンコペーションの緊張感が本作の冒頭に似合うということで、25番の第一楽章が流れます。今や演奏機会が増えた交響曲第25番は[AMADEUS]以降とか・・・。また、エンディングは、冒頭とは対比的に、ピアノ協奏曲第20番第2楽章が静かに、穏やかに流れる。交響曲、ピアノ協奏曲のほか、喜遊曲、オペラシーンなど、多種多様な名曲がちりばめられた映画[AMADEUS]の撮影は、屋外・屋内シーンの大半がプラハで行われた由で、いつかはプラハへも・・・と念願を!映画の製作・封切りから四半世紀以上が経過していますが、中世の面影を残す世界文化遺産プラハの街は当時の面影を今も残しており、一方、ハテ撮影現場を訪れることが出来るのだろうか・・・。[戻る
(2011/11/30 改 up)
本内容は、鳥取県東部医師会報 2012年1月 第397号 p.46-48 に掲載されました。
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