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『愛犬家通信ふりふりテ〜ル』2009年1月号

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ふりふりテ〜ル2009年01月号 皆様 新年おめでとうございます。
マーフィーファミリーも現在地に移転開店して二年目を迎えました。
中心地から離れ、田園地帯でこういう店を開いて、果たしてお客様は来て下さるのか、これまでご利用下さっていた市街地のお客様の足は遠のくのではないだろうかという不安と、進化を続けながら良き出会いによって店が育まれていく期待感が交錯する中、不況の嵐になぎ倒されそうになりながらも、なんとか保っておられるのも、ご利用下さる皆様のおかげと、あらためて感謝申し上げずにはおれません。本当にありがたいことです。これからも愛犬家のお役にたてるマーフィーファミリーであり続けたいと祈るばかりです。
ところで、昨年末には とんだハプニングもありました。クリスマスイブの夕刻に気づいたのですが、吉方町時代より店頭でお客さんをお迎えしていた、あの本物そっくりの犬の置物が、二頭とも消えてしまったのです。一頭はイエローラブ、そして一頭は街角や農村あたりでよく目にする典型的な日本犬系の雑種でした。特に雑種の置物は既製品がなく、私の注文で「目を淋しげに、耳は片方半立ち、足先には白足袋を履かせて、どことなく冴えないけれど愛らしい」という風情にしあげてもらったもので、愛着を感じておりました。蝋人形の技術で作ったもので、値段は素材の割に高いものの、どこにもないオリジナルということで、自慢の「看板犬」だったのです。当時、店は交差点にあったた め、信号待ちの人や車から見ると、あたかも、店の前に今にも動き出しそうな犬が居るかに見えたものです。中には 車道に飛び出さないかと冷や冷やしたけど、なんだ、作りモノか、と驚く人もあり、通行人を感心させたものです。また、この子があまりに可愛いので、是非譲って欲しいと頼まれたこともあり、実際に同じものを二体発注し、お世話したこともありました。それほど皆さんに可愛がられたのに、居なくなってとても残念ですが、夜も出しっ放しにしていたこちらの不始末としか言えません。おそらく、心ない誰かが、人気のない時間帯を狙い、クリスマスプレゼントに盗って行ったものと思われます。長い間可愛がっていただき、ありがとうございました。店先から姿が消えて口惜しいというより、まるで愛犬が居なくなったと同じ気持ちで淋しくてしようがありません。 しかし、心機一転、間もなく「新顔」を登場させますので、お楽しみに。

タブちゃん物語

実は、昨年九月下旬から、近在の集落にある大きな椨(タブ)の樹の周辺に居ついている雑種の犬が気になっておりました。そのタブの樹を遠くから初めて見た瞬間、樹自体の不思議な霊気のようなものを感じておりました。樹齢四百年ほど経つという貫禄ある幹は直径2m以上ありそうで、遠くからは豊かに、そして神々しくそびえているかのように見えるのです。しかも、その深々と茂った枝の下にはお地蔵様が祀られています。初めて通ったときには車を停めて、なにやら曰くありげで神秘的な風情に、しばし立ちつくしたものです。
そこに、一匹の狐にも似た素朴な犬がおりました。首輪もなく、あぜ道の草に半身を埋もれたまま遠くを見つめていました。野良仕事の人に着いてきた飼い犬だろうと思っていたのですが、気になって翌日も来て見ると、その子がまた居たのです。どうやら、この様子だと野良犬に違いないと確信しました。車から降りると警戒して10mほど先に飛んで逃げます。なおも、おやつを投げ与えると、興味は持つものの、こちらが見ているうちは寄ってきません。車に乗ってエンジンをかけると、それ今のうちとばかりに駆け寄って、道に落ちたおやつに食いつきます。それを機に私の餌付け作戦が始まったのです。
毎日通ううちに、心開いて慣れてくれるかと祈るような気持ちでしたが、一月経てども私と犬の距離は縮まることはありませんでした。そのうち、どうやら、餌付けをしている人が複数居ることが判りました。集落のおばさんが話してくれたのです。そして、私が勝手に「タブちゃん」と呼んでるその犬は、夏ごろから姿を見せ始め、当時は子犬だっそうです。おそらく誰かに捨てられたか、野犬が産んだ子かのいずれかと思われました。幸い、この秋は好天が多く、タブちゃんを訪ねる日課は決して負担ではありませんでした。タブちゃんは、たいていタブの樹の下で、のどかに横になってるのですが、姿がなくても、どこからともなく現れて、まるでおとぎ話の狐のように私を驚かせました。なぜなら、360度見回しても姿が見えないのに、ふといずこからともなくこちらに向かって駆けて来るからです。私の車が定位置のタブの樹の下に停まると、待ってたかのように現れることもありました。霊気漂うタブの樹のお遣いではないかと本気で思えたものです。
こうして タブちゃん参りが三ヶ月目に入った頃のことです。ある日、タブの樹の根元に、立派な犬小屋が設置されて、私を驚かせました。私以外にもタブちゃんの支援者が居ることは承知してましたが、その一人が、厳冬に凍えるタブちゃんを気遣って手製の小屋を置いてくれたに違いありません。高床式で タブちゃんが濡れた足で入っても床が濡れぬよう、入り口(玄関)には人工芝まで敷かれているではありませんか。なんと優しい人が居るのだと感激するやら嬉しいやらで、すぐ隣りのお地蔵様にお礼の手を合わせずに居られませんでした。友人にこのことを話すと、すぐさま、タブちゃんになり代わって、親切な犬小屋の作者にお礼状をしたためるようにとアドバイスを受け、早速簡単な手紙を、翌日、犬小屋に置いてきました。「親切にわたしのために こんないいお家を作ってくれて ありがとう。これで冬も安心です。」といった内容です。まるで昔話の世界に入り込んだかのような気持ちにわくわくしていました。すると、手紙を置いた直後に 樹の下に一台の軽トラックが停まりました。中から降りてきた人が犬用のおやつを、遠巻きに立っているタブちゃんに投げ与えるのを見て、作者はこの人かも知れないと思い、声をかけてみました。すると、やはり思った通りでした。私は、タブちゃんに代わって頭を下げ、ようこそとお礼を言いました。朴とつで優しそうな顔がほころんでいました。翌日には、ふかふかと小屋一杯にきれいな藁が敷き詰められておりましたが、タブちゃんが果たして、この中で休んでいるのかは確認する機会がありませんでした。
それから数日が経ったある日、待てど暮らせどタブちゃんが姿を現さないので、しびれを切らして帰ることにしましたが、次の日は気になって早めに訪ねることにしたのです。ところが、やはり、四方を見渡せど、タブちゃんは気配もありません。不安がよぎる中、ふと、居るはずもない小屋の中を覗いてみると、食器を重石にして、なにやら紙切れがあるではありませんか。よく見るとマジックでしたためたメモらしき文字が読めます。
「犬は保健所が連れて行きました。欲しい人は引き取りに出て下さい。」
保健所?そうか。村の誰かが、タブちゃんを迷惑がって通報したのか。なんて余計なことをしてくれるんだ。私は、血圧が急上昇するのを感じつつも、すぐさま保健所に連絡しました。まさかとは思いますが、殺処分などということになったら大変です。一緒に行ってくれるという友人と約束の時間に保健所(というより、収容施設)を訪ねると、一番隅の独房の片隅に、果たしてタブちゃんが不安そうに固まっていました。硬い表情のまま差し出した好物のジャーキーに目もくれないタブちゃんを 友人の協力を得てケージに移動させ連れ帰るに至りました。これほど間近にタブちゃんを眺め、これほど早く手元に保護することを予想していなかっただけに、不思議な感動を覚えました。あとで考えるに、保健所に通報した人は、善意からこの方法を実行したのだと確信しています。なぜなら、この犬を追っ払いたいだけの人が、親切にメモなど残すでしょうか。冬が来る前に、発情期が来て子をはらむ前に、なんとか救おうと意図してのことに違いありません。我々支援者の存在を知っていればこそ、わざわざ置手紙を残したのでしょう。そう思うと、タブの樹の霊力かお地蔵様が計らってくれたのかとも思えます。
そして、まもなく一ヶ月となる今、タブちゃんは私の部屋で共に過ごし、私の姿に尾を振って応え、甘えて腹を見せてくれるまでになりました。決して至近距離に近づいてはくれず野生動物のようだったタブちゃんが、その愛らしい肢体を惜しげなく私に任せてくるのです。夢のようです。やはり、タブの樹には慈悲の力で導く目に見えない力が宿っているように思えてなりません。あるいは通報者はタブの樹の精霊かも知れませんね。
人慣れが軌道にのれば、良い里親さんを見つけてやりたいと願いながら 毎日 幸福に向けて誘導中です。良きご縁に恵まれるその日まで、店員見習いとして店で可愛がってもらうことにします。どうぞ、よろしくお願いしますね。
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