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『愛犬家通信ふりふりテ〜ル』2007年9月号

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ふりふりテ〜ル2007年9月号
想定はしていたものの、今年の夏はかなり猛暑が堪えましたねえ。最高気温更新を伝えるニュースにうんざりしました。
少しでも涼しい場所を求めて廊下をさまようタム(バセットハウンド、13才)などは盲目であるだけに温度にも敏感なのでしょうか。この夏になって、やや足取りが鈍くなった気がします。なんとか無事に夏を越えさせたいものです。
電気代の請求書に怯えながらも、やはり老犬の安全を思うと冷房を節約しかねます。室内で暮らす犬はまだましです。運転中、車窓から、逃げ場のない直射日光を受けながら耐えるしかない犬の姿を見ると気の毒でなりません。陽が移動して影になるのを待つばかりというのは、あまりにも思いやりがなさ過ぎます。短い鎖で熱風にさらされるしかない彼らを見たら、ドイツやオーストリアの人は黙ってないでしょう。これは動物愛護の視点から見ても、立派な虐待、拷問です。いや、人道に反するのではないでしょうか。
東京のTさんが6月に視察してきたというドイツのティアハイム(アニマルハウス)は 日本で言う動物保護センターのようなものですが、決定的に違うのは、ティアハイムには 犬や猫を「処分」するという発想がないことです。犬や猫は狩猟民族である彼らにとって、DNA段階で「伴侶動物」という認識で位置づけられています。ティアハイムでは、捨てられた犬や猫を保護し、衛生的な管理はもちろん、必要な教育、医療を施して新しい引き取り手(里親)が見つかるか、あるいは 本体の飼い主に返還するまで、責任を持って一頭一頭大切に保護してくれるそうです。ドイツでは、たとえ引き取られる望みのない子でも、最期まで生命を全うできるとのことです。犬は人間の玩具や慰みものではなく、日本のように都合悪くなったら、あるいは、飽きたら捨てられるということは許されません。犬税を支払う義務もあるため、人は後先を考えて犬を迎えねばなりません。
ペットショップで犬を買い求めるということはありません。Tさんによると、そこで売られているのは、せいぜい小さなネズミだけだそうです。犬が欲しいときは、ティアハイムのような施設を訪ねて相談し、家族構成や生活スタイルを踏まえた上で、合いそうな犬を引き取るか、専門の繁殖家から指導を受けながら契約し、生まれくる子犬を予約するかだそうです。日本のようにペットショップで視覚やその場の感情で衝動買いするということはありえないのです。きちんとステップを踏み、知識と計画性を持って犬を飼い始めるとのことです。

「がらパグす」来たる

ふりふりテ〜ル2007年9月号 先日、愛犬を散歩中、ひも付きでさまよっていた柴系のワンちゃんを保護し警察に通報されたMさんは、警察での保管期間を過ぎても飼い主の見つからないその子を引き取ることにしました。迎えに行くと、そこには「病気で弱っているパグ」が居たそうです。もう長くはないだろうとのことですが、必死で捜している飼い主さんが現れない限り、その子は保健所に送られるということでした。
その話を聞いてからずっと気になっていた私は、数日してから、その子が あるいは飼い主のもとに戻ったことを期待しつつMさんに電話で尋ねてもらいました。すると、昨日保健所に移送されたということでした。病気の上、最後は処分されてしまうのかと思うと気の毒でならず、よし、とにかく救出しよう!と決心しました。果たしてMさんが好意的に保健所まで引き取りに行ってくれたその子を輸送箱越しに見た時、絶句しました。まずは、あまりの悪臭です。保健所で受け取ったMさんが顔をしかめ、反射的に身体から離したくなるほど皮膚がべちゃべちゃと汚れていました。これ、パグ?と再確認するほどでした。背面には毛が生えているものの、腹側は毛根すらないかのように禿げています。その日は店内がその子の悪臭に満ち、お客様が来られないことを願うほどでした。相当すさんだ暮らしぶりだったものか、あるいはとんでもない皮膚病を患っているのか、まずは洗って動物病院へ行くことが急務でした。
翌日、病院に行き血液検査などの健康診査の結果、マラセチアもフィラリアもアカラスも全て陰性であり、内蔵機能も特に大きな問題はないとのことでした。背骨が曲がり、腹側半身が黒く禿げているのは、おそらく栄養状態の悪さによるものだろうとのことでした。なによりの証拠に、痩せた身体にはアバラ骨がこれ見よがしに浮いています。体重は5.4kgでした。年齢は不祥ですが、若くないことは確かでした。幸いなことに 感染という点では、店での接客空間に居ても他のワンちゃんやお客様にご迷惑をかけることだけはなさそうなことと、早急な治療を必要とする状況にはないことに胸を撫で下ろしました。この子に「パグ爺」と名づけ、まずは栄養状態の改善を図り、同時に皮膚の改善を気長に試みる「実験」を開始することにしました。もちろん、食餌療法のみです。
昔、福井県にある曹洞宗大本山永平寺で見た大きな絵画を思い出しました。それは、光明皇后という方が、膿だらけのハンセン氏病(当時のライ病)患者を自ら風呂に入れて世話に当たっている光景でした。病苦に顔をゆがめた無数の患者が神々しい皇后の慈悲にすがっている図でしたが、実は彼らは五百羅漢の化身だったとかなんとかいう説明でした。この光明皇后の偉業に深い印象と敬意を覚えた当時のことを久しぶりに思い出し、すっかり光明皇后気取りでパグ爺を洗いながら自己陶酔している私でした。

「がらパグす作戦」開始

ふりふりテ〜ル2007年9月号 さて、そのパグですが、皮膚の状態を解りやすく表現すると、ガラパゴス諸島のイグアナのようです。無毛で黒く、ウロコこそないものの、爬虫類そのもの。喉から胸にかけてはしわしわで、仰向けになるとミイラ、蝉、カエル、深海魚の干物、などといった感じです。前歯は二本ばかり欠損しています。延び放題の爪の中に一本だけ根元で折れているものがあります。背は丸く湾曲し、昔見た「ノートルダムのせむし男」という映画を思い出します。アバラばかりが突出して 瓢箪のように著しく胴がくびれています。顔面は全面が黒で、お神楽の頭を連想させますが、パグ独特の愛嬌があります。が、見ようによっては「ET」です。このように、まことに特徴的で印象深いパグではありますが、私はこれを醜いとは思いません。むしろ、スタンダードから外れているからこそ個性的でかわいいと思えるのです。捨て犬だという背景からか、とても愛おしく感じます。
しかし、できることなら、この痩せた身体を最適な体重にまで太らせてやりたいし、なによりも、イグアナもどきの皮膚に毛を生やしてやりたいと願います。この子は 私にとって単なる保護犬ではありません。教材なのです。つまり、食餌などによる改善がどこまで可能か、またしても「実験」を開始することになりました。名づけて「がらパグす作戦」としました。医療に頼らず どこまでできるのか全く自信はありませんが、前回の「痒い痒い(かいかい)シスターズ作戦」での実績を参考に頑張ってみるつもりです。少なくとも、見てくれは二の次ぎで、心身の健康が維持できるようにと願っています。
性格は温和なようですが、今のところ、犬や人には警戒心がないようです。ただ、凄まじいばかりの食欲に加え、去勢していないためか、色気のスイッチもONになっていて、しょっちゅう私の脚にマウンティングをしたがるのが玉にきず。しかし、去勢するにしても体力と体重をつけてやらねばいけません。おそらく月単位というより年単位のプロジェクトになろうかと見ています。せっかく拾った命ですから、是非とも本来の天寿を全うさせられるよう努めてみますので、応援して下さいね。
外見はちょっと不気味でしょうが、検査の結果、感染するような病気や細菌、寄生虫の心配はありませんので、どうか嫌わないでやって下さい。お店に来られたら「パグ爺」と声をかけていただければ喜びます。
パグ爺の様子は、時々ですがブログで紹介しています。『簡単・健康 愛犬のごはん作り』

秋が来て・・・・・

今年も動物愛護週間とやらがやってきました。烏取市の火葬場でも一年間に荼毘に付された愛犬や愛猫の慰霊祭があります。毎年すごい人です。たくさんの犬や猫がまた旅だって逝ったのかと思いつつ、その前を通り過ぎます。
先日、長らくご無沙汰だった友人のYさんがひょいと訪ねて来られました。なんと、愛犬のミックが 一週間前に亡くなったそうです。Yさんは、ミックを看取るまでの経過を丁寧に、まるで映像を見るように説明してくれました。
ミックはゴールデンレトリーバーのオスで10才。性格は優しく知的で愛らしい子でした。Yさんは実子以上に愛情を注ぎ、時間、手間、体力を費やしてきました。ミックはペットというより相棒という存在でした。私と亡き愛犬ベンケの関係に似ています。
病気に縁なくきたのですが、この5月に口腔内にできた腫瘍が「メラノーマ」という診断を受け、余命三ヶ月の宣告を受けてから、ほぼ予測通りに旅立ちました。しかし、幸いにして、彼は運命の診断から二ヶ月間は元気で暮らし、まるで治ったかにみえたといいます。最期のひとときを十分に堪能して来たるべきお迎えに応じられるように、思い残すことなく楽しんだかのようでした。しかし、ある日から彼は発作に襲われるようになり、家族の必死の介護の下で、脳への転移にもかかわらず、愛らしいミックであり続けたそうです。
覚悟して迎えた最期の二十日間は、悲しいなりにも、Yさん自身が驚くほど冷静で居られたそうです。「もういいんだよ。ミック、向こうに行くんだよ。お母さんの言うこと解るよね。」と諭すと、素直に応じるかのように安らかに出発したそうです。Yさんは 取り乱したり、悲しすぎて自分が保てなくなるどころか、安らかな気持ちで見送れたそうです。「行かないで〜!」ではなく「行ってらっしゃい」だったのです。Yさんは決して薄情な飼い主ではありません。ミックのためならどんなことでもできる人です。しかし、恐れていたペットロスにもならず、むしろ心穏やかで、かつ前向きな気持ちに切り替えています。避けられない別れを、感謝の気持ちで受け入れています。ミックが大切な命とひきかえにもたらしてくれた時間を、新たに学ぶために有効利用するのがミックへの何よりの供養だと語る目が輝いていました。これは ミックの「犬徳」だろうと思います。
ところで、ミックの死を無駄にしないために、皆さんにお伝えしたいのは、ミックの大事な命を奪うに至った恐ろしい病気のことです。メラノーマは9才以上のオス犬が発病しやすいということです。小さいうちに発見できれば切除で治りますが、大きくなると転移しやすく手の打ちようがない困った病気です。どうか、日頃から口の中をよく観察してあげて下さい。これはYさんからのお願いでもあります。そして、ミックが自らの命を落として教えてくれた情報です。ミックのような犠牲者が一頭でも減りますように。ミック ありがとう。
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